試合で相手の威力あるドライブに押し負け、レシーブでも先手を取れず悩んでいませんか?正統派の裏ソフト同士の打ち合いでは、身体能力や練習量で勝る相手に勝つのは至難の業です。このまま同じ戦い方を続けても、格上の壁は越えられないかもしれません。その状況を打破する秘策が、あえてフォア面にアンチラバーを貼る超変則戦型です。本記事では、相手の強打を無効化しリズムを完全に狂わせるフォアアンチ戦型の特徴から、必勝の戦術、用具選び、具体的な技術までを徹底解説します。常識を覆す戦術を身につけ、格上選手から金星を挙げる第一歩を今すぐ踏み出しましょう!
1. フォアにアンチラバーを貼る戦型とは?常識を覆す魅力と基本概念
1-1. バック面ではなくあえてフォア面にアンチラバーを貼る理由
一般的な異質攻守型において、アンチラバーや粒高ラバーといった変化系ラバーはバック面に貼られることが圧倒的に多いです。これは、リーチが短く威力が出にくいバックハンドを変化で補い、威力が出しやすいフォアハンドに裏ソフトラバーを貼って攻撃の要とするのがセオリーだからです。しかし、あえてフォア面にアンチラバーを貼る戦型は、この卓球界の常識を根底から覆します。
最大の理由は、現代卓球において多くの選手が「フォア前にサーブを出し、フォア側やミドルを攻める」または「バック対バックからフォアへ展開する」というセオリー通りに動くため、ボールが集まりやすいフォア側で最も強烈な変化とリズムの崩壊を生み出せるからです。フォアハンドという本来なら強い回転がかかるはずの領域から、突如として無回転のナックルボールや回転が反転したボールが飛んでくるため、対戦相手はこれまでの経験則がまったく通用しなくなります。
1-2. アンチラバーの基本性能と現代卓球における位置づけ
アンチラバーとは、表面の摩擦係数を極限まで減らし、ツルツルとした質感に仕上げた裏ソフトラバーの一種です。内部には柔らかいスポンジや、衝撃を吸収する特殊な低反発スポンジが組み込まれており、相手が打ってきたボールの回転と威力を無効化する性質を持っています。
プラスチックボールへの移行に伴い、ボール自体の回転量が減少し、スピードと威力が重視される現代卓球において、アンチラバーは再び注目を集めています。相手の強烈なパワードライブの威力をスポンジで吸収し、表面の滑りで回転を受け流すことで、台上にピタリと止まるような返球や、不規則に沈み込む返球が可能になります。粒高ラバーのように粒が倒れる感覚に頼る必要がなく、ラケットの角度さえ合わせれば安定した返球ができる点も、フォア面で多様なボールを処理するうえで大きな強みとなります。
1-3. 対戦相手が陥る「視覚と感覚のギャップ」という最大の武器
フォアアンチ戦型が持つ最大の武器は、ラバーそのものの変化量以上に、対戦相手の脳内に引き起こす視覚情報と実際の球質の強烈なギャップにあります。卓球選手は相手のフォアハンドのスイングを見た瞬間、無意識のうちに「これくらいの上回転がかかって、この程度のスピードで飛んでくる」と予測して次の打球準備に入ります。
ところが、フォアアンチ戦型の選手がフォアハンドで大きくスイングしても、飛んでくるボールは勢いが死んだナックルボールだったり、相手の回転がそのまま残った逆回転のボールだったりします。頭では「アンチラバーだ」と理解していても、長年の練習で染み付いた「フォアのスイング=強い上回転」という条件反射は簡単には消えません。結果として、相手はネットミスやオーバーミスを連発し、自分の感覚を信じられなくなって自滅していくのです。
2. フォアアンチ戦型の3つの主なプレースタイルと組み合わせ
2-1. シェークハンド:フォアアンチ×バック裏ソフト(反転・バック主戦型)
最もバランスが良く、実戦での勝率が高いのが、フォア面にアンチラバー、バック面に回転のかかる裏ソフトラバーを貼る組み合わせです。このスタイルでは、主にアンチラバーで相手の攻撃を封じてチャンスを作り、威力のあるバックハンドドライブや、ラケットを反転させてのフォアハンドドライブで仕留めるという戦術をとります。
現代卓球ではチキータをはじめとするバックハンド技術が高度に発達しているため、バック面に貼った裏ソフトラバーだけでも十分に攻撃力を確保できます。また、サーブを出す際やチャンスボールが来た際には、手の中でラケットをクルリと回す反転技術を用いることで、フォアハンドでも裏ソフトの強烈なドライブを打ち込むことができます。相手からすれば「いつアンチで来るか、いつ裏ソフトで来るかわからない」という極限のプレッシャーの中で戦うことになります。
2-2. シェークハンド:フォアアンチ×バック表ソフト・粒高(超異質変化型)
フォア面にアンチラバーを貼り、さらにバック面にも表ソフトラバーや粒高ラバーを貼る、両面異質ラバーという極めて攻撃的かつ幻惑的なスタイルです。裏ソフトラバーを一切使わないため、自分から強烈なドライブを打つことはできませんが、その分、すべての返球が相手にとって打ちづらい変化球となります。
特にバック面に攻撃力の高い表ソフトラバーを貼った場合、フォアのアンチで相手の体勢を崩し、浮いてきたボールをバックの表ソフトで弾き飛ばすという高速の連続攻撃が可能になります。また、バック面に粒高ラバーを貼った場合は、アンチの「回転を消す性質」と粒高の「回転を反転させる性質」の微妙な違いを突き、前陣でのブロックとプッシュだけで相手を完全に翻弄する鉄壁の要塞を築くことができます。
2-3. ペンホルダー:片面アンチまたは裏面裏ソフト活用型
日本式ペンホルダーや中国式ペンホルダーの表側にアンチラバーを貼るスタイルも、非常に根強い人気と独自の強みを持っています。ペンホルダーは手首の可動域が広く、台上での細かい角度調整や、プッシュ、ショートといった技術がやりやすいため、アンチラバーの特性である「コースを突く」「角度でいなす」というプレーと抜群の相性を誇ります。
特に中国式ペンホルダーで表側にアンチラバー、裏面に裏ソフトラバーを貼るスタイルは、現代的なフォアアンチ戦型の完成形の一つと言えます。通常のフォアハンドやショートはすべてアンチラバーで変化をつけ、攻撃に転じる瞬間だけ裏面打法で強烈な回転のバックドライブを放つ、あるいはラケットを反転させてフォア強打を放つなど、ペンホルダー特有の柔軟なラケットワークを最大限に活かすことができます。
3. フォアにアンチラバーを貼る最大のメリット
3-1. 相手のフォア前のサーブやロングサーブを完全に無力化できる
試合において最も頭を悩ませる要素の一つがレシーブですが、フォア面にアンチラバーを貼ることで、レシーブの難易度が劇的に下がり、むしろレシーブ側が圧倒的優位に立つことができます。相手がどれだけ複雑な回転をかけたフォア前サーブを出してきても、アンチラバーなら回転の影響をほとんど受けないため、ラケット面を向けて軽く押し出すだけで簡単に返球できます。
さらに、相手の奇襲であるフォア側へのスピードロングサーブに対しても、アンチラバーであれば当てるだけで威力を吸収し、いやらしいナックルボールとして相手のコートへ返すことができます。相手は「サーブで崩せない」「強いサーブを出すほど打ちにくいボールが返ってくる」というジレンマに陥り、試合序盤からサーブ権のアドバンテージを完全に奪い取ることが可能です。
3-2. 相手の渾身のフォアドライブを「ナックルショート」で簡単に止められる
右利き同士の対戦において、相手のクロスへのフォアドライブや回り込んでのストレートへのドライブを、フォア側のアンチラバーで待ち構えることができます。相手が全身の力を込めて放った渾身のドライブに対し、アンチラバーの面を合わせて軽く当てるだけで、勢いが完全に死んだ短いブロックや、鋭く沈み込むナックルボールとして返球されます。
攻撃側の選手にとって、自分が強く打ったボールがネット際にポトリと落とされることほど体力を削られ、精神的に焦ることはありません。2球続けて威力のあるドライブを打つことは構造上不可能になり、相手は前のめりになってボールを持ち上げるしかなくなります。そこを逆コースへ突くことで、相手の長所である攻撃力をそのままこちらの得点源へと変換できるのです。
3-3. ラケットの反転を織り交ぜることで相手の思考をフリーズさせる
フォアアンチ戦型がラケットの反転を取り入れた瞬間、その脅威は何倍にも膨れ上がります。通常、バック面に異質ラバーを貼っている選手が反転する場合は「バックハンドで裏ソフトを振るため」あるいは「フォアでたまに異質を使うため」という限定的な使い方になりがちです。
しかし、フォアアンチをベースにしている選手は、基本の構えの時点でフォアがアンチ、バックが裏ソフトという非対称な状態にあります。ここからラリー中に反転を行うと、フォアからもバックからも、裏ソフトの強烈な回転球とアンチの無回転球の両方が飛んでくるというカオスな状況が生まれます。相手はボールの軌道を見るだけでなく、打球の瞬間のラバーの色や打球音まで判別しなければならず、判断がコンマ数秒遅れることで、簡単にノータッチや凡ミスを誘発できます。
3-4. 希少価値が極めて高く、初見の相手に対して圧倒的優位に立てる
卓球の大会において、バック粒高やバック表ソフトの選手と対戦する機会は多く、ほとんどの選手がその対策練習を積んでいます。しかし、フォア面にアンチラバーを貼っている選手は全国的に見ても極めて希少であり、普段の練習環境にフォアアンチの選手がいるケースは皆無に等しいです。
そのため、トーナメント戦などの短期決戦においては、相手がフォアアンチの球質と独特のリズムに慣れる前に試合が終わってしまうことが多々あります。相手が「どうやって攻めればいいのか」と迷っている間に1ゲーム、2ゲームと先取し、相手がようやく感覚を掴みかけた頃にはすでにマッチポイントを握っているという、初見殺しとしての圧倒的な優位性は他のどの戦型にも代えがたいメリットです。
4. フォアアンチ戦型が抱えるデメリットと克服すべき課題
4-1. フォアハンドでの決定力不足と自ら回転をかける難しさ
フォアアンチ戦型の最大の弱点は、本来最も威力が出るはずのフォアハンドで、自ら強い上回転をかけて安定したドライブ攻撃を仕掛けることができない点です。アンチラバーは表面が滑るため、裏ソフトラバーのようにボールを擦って弧線を描くことができず、無理に強打しようとすると直線的に飛んでオーバーミスになるか、滑ってネットに直行してしまいます。
この課題を克服するためには、「フォアハンドは一発で決めるものではなく、コースを突いて相手を崩すもの」という意識改革が必要です。また、浮いたボールに対してはアンチラバー特有の角度打ち(ミート打ち)を習得するか、大きく回り込んでバック面の裏ソフトで仕留める、あるいは素早くラケットを反転させて裏ソフトでフォアドライブを打つといった、決定力を補うための明確な攻撃手段を確立しておく必要があります。
4-2. 相手から「ナックルボール(無回転)」を集中的に送られた際の対処
アンチラバーは「相手の回転を利用して変化を生む」ラバーであるため、相手が回転をかけずにナックルボールや緩いツッツキばかりをフォア側に集めてきた場合、変化をつけることができず、単調な返球になりやすいというデメリットがあります。さらに、無回転のボールに対してアンチラバーでただ当てるだけだと、ボールが滑ってネットミスをしやすくなります。
対策としては、相手が回転をかけてこない展開になったら、自分から積極的にアンチ面でのプッシュやワイパー打ちを仕掛けてスピードで相手を圧迫することが重要です。また、フォア側に緩いボールが来ると予測できた段階で、素早くラケットを反転させて裏ソフト面でドライブを掛けることができれば、相手は「緩いナックルを送ると強打される」と警戒し、再び回転をかけたボールを打たざるを得なくなります。
4-3. ラリーが長引いた際の得点パターンの構築とメンタル維持
フォアアンチ戦型に慣れてきた相手や、粘り強いカットマン、ロビングを多用する選手と対戦した場合、変化だけで簡単にミスをしてくれず、ラリーが長引くことがあります。このとき、ただアンチラバーで当てて返しているだけでは、徐々にボールが浅くなったり甘くなったりして、最終的には相手に狙い撃ちされてしまいます。
ラリー戦を制するためには、「アンチで前後に揺さぶる」「ミドルを突いて体勢を崩す」「最後に裏ソフトで決める」という一連の得点シナリオを複数持っておくことが不可欠です。また、アンチラバーの選手自身が「変化で相手をミスさせよう」と焦りすぎると、無理なコースを狙って自滅しがちです。まずは「何球でも確実に台に収め続け、相手の我慢比べに勝つ」という強靭なメンタルと、安定した守備力を養うことが求められます。
5. フォアアンチで必須となる基本技術と打ち方のコツ
5-1. 相手のタイミングを奪う「ストップ」と「プッシュ」の使い分け
フォアアンチにおける台上技術の要となるのが、ネット際にピタリと止めるストップと、相手の胸元や深いコースへ鋭く押し込むプッシュのコンビネーションです。ストップを行う際は、ボールのバウンド直後(頂点前)を捉え、ラケットの面を少し上に向けて、ボールの勢いを吸収するように手首の力を抜くのがコツです。アンチラバーの低反発性能と相まって、相手が前に飛び込まなければならないほどの絶妙な短さにコントロールできます。
一方、相手が短いボールを警戒して前傾姿勢になった瞬間を狙うのがプッシュです。これもバウンドの早い段階を捉えますが、ラケット角度をやや立てて、肘から先を前方に鋭く押し出すようにスイングします。下回転のボールに対しては少し面を開いて斜め上へ押し出し、上回転やナックルに対しては面を被せ気味にして直線的に弾き出します。同じ構えからストップとプッシュを打ち分けることで、相手のフットワークを完全に破壊できます。
5-2. 強打を吸い込むように返球する「カットブロック」と「ナックルブロック」
相手のドライブ攻撃に対する守備技術として、ただ当てるだけのブロックに加え、カットブロックとナックルブロックの2種類を習得することが必須です。ナックルブロックは、相手のドライブの威力に対してラケット面をほぼ垂直からやや被せ気味にセットし、インパクトの瞬間にラケットを動かさず壁を作る技術です。これにより、ボールは回転を失い、相手コートで失速して沈み込むいやらしいナックルボールになります。
さらに変化をつけたい場面で有効なのがカットブロックです。相手のドライブがラケットに当たる瞬間、ラケットを上から下へ鋭く振り下ろすことで、相手の強い上回転をそのまま強い下回転(または強烈に沈むスリップ球)として返球します。特に摩擦の少ないアンチラバーで行うと、相手のドライブの回転量が多ければ多いほど、返球されたボールはバウンド後にほとんど弾まず、相手は連続ドライブを打つことが完全に不可能になります。
5-3. チャンスボールを確実に仕留める「アンチスマッシュ」と「ワイパー打ち」
アンチラバーであっても、浮いたチャンスボールは確実にフォアハンドで仕留められるようになる必要があります。アンチスマッシュ(角度打ち)の最大のポイントは、裏ソフトのようにボールを擦り上げるのではなく、ボールの後ろ(中心よりやや上)をフラットに捉え、前進回転をかけずにパチンと弾き切ることです。打球点は必ずバウンドの頂点を取り、フォロースルーを前に大きく取らず、インパクトの瞬間に力を集中させてコンパクトに振り抜きます。
また、低く浅いツッツキや中途半端なナックルボールに対して攻撃的に仕掛けたいときに有効なのがワイパー打ちです。ラケットの先端を上に向けた状態から、車のワイパーのように前腕と手首を回内させ、ボールの側面を撫でるようにして横回転を与えながら前に押し出します。これにより、アンチラバーでも安定した軌道の変化球を相手コートの深い位置へ送り込むことができ、相手のミスを誘う攻撃的なつなぎ球として大いに機能します。
5-4. バック面のラバーを活かした攻撃へのスムーズな連携技術
フォアアンチでチャンスを作った後、いかにしてバック面の裏ソフト(または表ソフト)の攻撃へ繋げるかが勝敗を分けます。最も基本的かつ強力な連携は、フォア側のアンチで相手のクロスやミドルへブロックし、相手が苦し紛れにバック側へ返してきたボールを、バックハンドドライブやスマッシュで一撃で仕留めるパターンです。
この連携を成功させるためには、フォアアンチで打球した直後に、重心を素早く中央またはややバック寄りへ戻すフットワークが重要になります。アンチでの返球は球速が遅くなることも多いため、自分が打ったボールを見届けてから動くのではなく、アンチで打球した瞬間にはすでに次のバックハンド攻撃のバックスイングを引く準備に入っているくらいの意識を持つことで、途切れのない連続攻撃が可能になります。
6. 試合で勝つためのフォアアンチ実践戦術・得点パターン
6-1. サーブからの展開:反転サーブとアンチ面での奇襲サーブのコンビネーション
自分がサーブ権を持っているときは、基本的にはラケットを反転させ、裏ソフト面で強い回転のかかったサーブを出すのがセオリーです。裏ソフトで強い下回転や横回転のサーブを出し、直後に手の中でラケットを元の状態(フォアがアンチ、バックが裏ソフト)に戻して3球目を待ち構えます。相手が苦し紛れにフォア側へツッツキやドライブをしてくれば、そこにはアンチラバーが待ち構えており、3球目をアンチのプッシュやブロックでコースを突いて主導権を握ります。
さらに効果的なのが、時折混ぜるアンチ面での奇襲サーブです。裏ソフトでサーブを出すときと全く同じモーション、同じスイングスピードで、あえてアンチラバーの面でボールを捉えます。相手は「強い下回転が来る」と思ってラケット面を上に向けてレシーブするため、アンチから放たれた完全な無回転サーブは面白いように浮き上がります。この浮いたボールを3球目スマッシュで仕留めるパターンは、大事な場面で確実に1点が欲しいときの切り札になります。
6-2. レシーブからの展開:フォア前とミドルをアンチで制圧し3球目攻撃を封じる
レシーブからの展開では、フォアアンチの強みを前面に押し出し、相手の3球目攻撃を完全に封じ込める戦術をとります。構える位置を通常よりもややバック寄りに設定し、ミドルからフォア側に来たサーブはすべてフォアのアンチラバーで処理できるようにします。
相手がフォア前やミドル前に短いサーブを出してきたら、アンチラバーで相手のバック奥深くへ鋭いプッシュを送るか、あるいはネット際へピタリと止まるストップで返球します。特にフォア前から相手のバック奥へのストレートプッシュは、相手の回り込みを完全に封じ、苦しい体勢でのバックハンドを強いることができる極めて有効な技術です。相手がそれを嫌がってバック側へサーブを集めてきたら、今度は得意のバック面の裏ソフトでチキータやバックドライブを仕掛け、レシーブから一方的に攻め立てることができます。
6-3. ラリー戦での展開:緩急とコース取りで相手を前後に揺さぶる罠の張り方
ラリー戦に突入したら、フォアアンチとバック裏ソフトの「球質の差」と「スピードの差」を最大限に活かして、相手を前後左右に揺さぶります。たとえば、バック面の裏ソフトでスピードのあるドライブを相手のバック側へ送り、相手を台から下げさせます。相手が下がったところへ、次のボールをフォアのアンチラバーでフォア前へ短くカットブロック(ドロップショット)します。
裏ソフトの速いリズムに合わせて下がった相手は、アンチラバーで突然勢いを殺された短いボールに対して足が全く動かず、ノータッチで得点できるケースが多発します。また、アンチで短いボールを意識させた直後に、今度はバックの裏ソフトやアンチのプッシュで深いコースを突くことで、相手の重心を常に不安定な状態に置き、まともな体勢でスイングさせない「空間の支配」を完成させることができます。
7. フォアアンチ戦型に最適な用具選び(ラバー・ラケット)
7-1. クラシック系アンチと摩擦レス(ツルツル)系アンチの違いと選び方
アンチラバーには大きく分けて、わずかに摩擦が残っていて扱いやすいクラシック系アンチと、表面を特殊加工して摩擦を極限までゼロに近づけた摩擦レス(ツルツル)系アンチの2種類が存在します。フォアアンチ戦型を始めるにあたり、どちらを選ぶかでプレースタイルが大きく変わります。
クラシック系アンチは、相手の回転を適度に無効化しつつも、自分からプッシュやスマッシュ(角度打ち)を打つ際にボールをコントロールしやすいのが特徴です。フォアハンドでも積極的に攻めていきたい選手や、アンチラバー初心者が最初に感覚を掴むにはこちらが最適です。一方、摩擦レス系アンチは、相手のドライブをカットブロックした際のスピン反転能力(相手の強い上回転が強烈な下回転になって返る現象)が凄まじく、変化量で相手を圧倒したい選手に向いています。ただし、弾みが極めて弱く角度調整がシビアなため、前陣でのブロックとストップに特化した玄人向けの選択肢となります。
7-2. フォアアンチの性能を引き出すラケットの木材構成と反発力の基準
フォアアンチ戦型におけるラケット選びでは、「アンチ面での抑えやすさ」と「バック面(裏ソフト)での攻撃力」のバランスをどう取るかが重要です。基本的には、球持ちが良くコントロール性能に優れた5枚合板や7枚合板の純木材ラケット、あるいは反発力を抑えたインナーファイバー系の特殊素材ラケットが適しています。
もし「アンチでのブロックの短さ」や「変化の出しやすさ」を最優先するのであれば、守備用(カットマン用や異質攻守用)の低反発ラケットや、フォア面とバック面で異なる木材を使用して反発力を変えている異質専用コンビネーションラケットを選ぶのも非常に有効です。逆に、アンチでのプッシュやスマッシュの威力を高め、バックハンドで威力のあるドライブを連打したい場合は、やや板厚のある7枚合板やアウター特殊素材ラケットを選び、アンチラバー側のスポンジを厚く(または低反発スポンジに)してバランスを取るというアプローチが推奨されます。
7-3. バック面に合わせるべきラバーの選定基準と重量バランスの調整
バック面に貼るラバーは、フォアアンチで作ったチャンスを確実に得点に結びつけるための「矛」の役割を果たします。そのため、裏ソフトラバーを選ぶ場合は、回転量が多く、軽い力でもスピードと威力が出せるハイテンション裏ソフトラバーを選ぶのが鉄則です。相手の浮いたボールを弾き飛ばすスマッシュや、台上のチキータで先手を取る展開が多いため、スポンジ硬度はやや硬め(ミディアムハード〜ハード)で、厚さは「厚」または「特厚」にすると決定力が格段に上がります。
また、見落としがちなのがラケット全体の重量バランスです。アンチラバーは裏ソフトラバーに比べて非常に軽量なものが多いため、バック面に重い特厚の裏ソフトラバーを貼ると、ラケットの片面だけが重くなり、スイングや反転のバランスが崩れることがあります。反転を多用する選手であれば、全体の総重量を軽めに仕上げ、手首への負担を減らして素早いラケットワークができるよう、バック面のラバー重量やラケット自体の個体重量にもこだわって選定することが大切です。
8. フォアアンチ戦型を極めるための効率的な練習メニュー
8-1. 回転量と球質の違いに対するラケット角度の自動化ドリル
フォアアンチを自在に操るための第一歩は、相手が打ってくるボールの回転(上回転、下回転、ナックル)に対して、頭で考える前に手が勝手に最適なラケット角度を作る「角度の自動化」を達成することです。そのための基礎練習として最も有効なのが、練習相手にフォア側へ「ツッツキ(下回転)」と「ドライブ(上回転)」を交互に、あるいはランダムに送ってもらう多球練習やシステム練習です。
下回転のツッツキに対しては、ラケット面を少し開いて斜め上へ押し出すプッシュで深く返し、次の相手のドライブに対しては、ラケット面を被せて力を抜くナックルブロックやカットブロックで短く止めます。この「押す動作」と「引く(止める)動作」の切り替えを徹底的に反復することで、アンチラバー特有の飛び出し角度とスピード感を身体に染み込ませることができます。
8-2. 反転技術を無意識レベルまで高めるフットワーク&切り替え練習
試合のプレッシャーの中でラケットの反転を成功させるには、足と手の動きを連動させた専門的なトレーニングが不可欠です。おすすめの練習メニューは、フォア側でアンチブロックを1球行い、次のボールを回り込んで(あるいはフォア側でそのまま)ラケットを反転させて裏ソフトでフォアドライブを打つという切り替え練習です。
最初はゆっくりとしたテンポの多球練習から始め、打球後にラケットを基本位置に戻す際、親指と人差し指を軸にして手の中でラケットを半回転させる動作を反復します。慣れてきたら、「フォアアンチでブロック→反転してフォア裏ソフトでドライブ→さらに反転してフォアアンチでプッシュ」というように、1球ごとにラケットの面を入れ替えながら打球するドリルを行うことで、試合中でも一切の迷いなく自在にラバーを使い分けられるようになります。
8-3. 実戦を想定した「アンチで崩してバック(または反転フォア)で決める」システム練習
個々の技術が身についたら、最後は実戦での得点パターンをそのまま切り取ったシステム練習を行います。たとえば、「自分が裏ソフトでサーブを出す→反転してフォアのアンチで相手のレシーブを相手バック奥へプッシュする→相手が返してきたボールをバック面の裏ソフトで強打して決める」という、3球目から5球目までの流れを固定した練習です。
また、レシーブからの展開として、「相手のフォア前サーブをアンチでストップまたはプッシュする→相手の甘いつなぎ球を反転フォアドライブ、またはバックハンドスマッシュで仕留める」という練習も徹底的にやり込みます。フォアアンチ戦型は「相手に気持ちよく打たせず、自分の得意なパターンにハメる」ことがすべてと言っても過言ではありません。日頃の練習から「どのコースにアンチで返せば、次にどこへボールが返ってくるか」という予測とセットで攻撃練習を行うことで、本番の試合で格上選手を次々と撃破する本物の実力が身につきます。常識にとらわれないフォアアンチという唯一無二の武器を磨き上げ、あなただけの新しい卓球スタイルで勝利を掴み取りましょう。

