相手の強烈なドライブをブロックできず、オーバーミスに悩んでいませんか?近年の高速卓球において、威力ある攻撃を従来の守備用ラバーで止め切るのは至難の業です。変化が出ずに打ち抜かれる悔しさを味わっている方も多いはずです。そんな守備型選手の救世主となるのが、Dr.ノイバウアーのアンチラバー「A-B-S2ソフト」です。本記事では、圧倒的な吸収力と強烈なスピン反転能力を誇る本ラバーの性能、値段、寿命やメンテナンス方法まで徹底解説します。ネット際にピタリと止まる鉄壁のブロックを手に入れたい方は、ぜひ最後まで読み進めてラバー選びの参考にしてください。
1. A-B-S2ソフトとは?基本スペックと開発の背景
1-1. 異質ラバーの名門「Dr.ノイバウアー」が生み出した吸収系アンチの進化形
卓球界において、粒高ラバーやアンチラバーといった異質ラバーの研究・開発で世界的な知名度を誇るのが、ドイツのメーカー「Dr.ノイバウアー(Dr. Neubauer)」です。同社の創設者自身が世界ベテラン選手権などで数々のタイトルを獲得してきた異質攻守型の名手であり、現場のプレイヤー視点に立った独自の用具開発を続けています。
そのDr.ノイバウアーが展開するアンチラバーのラインナップのなかでも、特に高い評価を得ているのが「A-B-S」シリーズです。プラスチックボールへの移行に伴い、ボールの回転量が減少し、スピードと威力が増した現代卓球では、従来のアンチラバーでは「ボールが滑らずに棒玉になる」「相手の強打を抑えきれずにオーバーミスする」という課題が浮き彫りになりました。
こうした時代背景を受けて開発されたのが、低摩擦なトップシートと衝撃吸収スポンジを組み合わせた「A-B-S2ソフト(A-B-S 2 Soft)」です。プラスチックボール環境下でも十分なスピン反転能力を発揮しつつ、現代のパワーヒッターが放つ強烈なドライブの威力を極限まで殺すために設計された、まさに現代守備型プレイヤーのための進化形アンチラバーと言えます。
1-2. 通常版「A-B-S2」や「A-B-S2エボ」との決定的な違い
A-B-S2シリーズには、ベースとなる通常版の「A-B-S2」や、攻撃力と変化のバランスを調整した「A-B-S2エボ(EVO)」、さらに後発のバリエーションなど複数のモデルが存在します。そのなかで「A-B-S2ソフト」が持つ決定的な違いは、その名の通り組み合わせられているスポンジの柔らかさと、それに伴う圧倒的な減速性能にあります。
通常版のA-B-S2も非常に高い吸収力を持っていますが、スポンジにはある程度の硬さがあり、強いインパクトを受けた際にはラケット本体の合板の硬さの影響を受けやすい側面がありました。そのため、弾みの強いカーボンラケットなどと組み合わせた場合、想定よりもボールが飛んでしまうケースがあったのです。
一方、A-B-S2ソフトはシリーズ中で最もソフトで低反発な特殊スポンジを採用しています。トップシートの摩擦の少なさ(ツルツル感)は通常版の高いクオリティをそのまま継承しつつ、スポンジがボールの運動エネルギーをスポンジ内部でふんわりと吸収・分散させます。これにより、通常版よりもさらにボールの滞空時間が短くなり、相手コートのネット際に短く落とす性能が劇的に向上しています。
1-3. スポンジ厚さのバリエーションとそれぞれの特徴
一般的な裏ソフトラバーでは、スポンジが厚くなればなるほど反発力が増してボールが飛ぶようになります。しかし、A-B-S2ソフトのような「低反発吸収スポンジ」を採用したアンチラバーにおいては、この法則がまったく逆になります。つまり、スポンジが厚ければ厚いほど、ボールの威力を吸収して飛ばなくなるという特性を持っています。
A-B-S2ソフトの主なスポンジ厚のバリエーションは、2.1mm、2.3mm、2.5mmという極厚帯を中心に展開されています。それぞれの厚さによる性能の違いは以下の通りです。
- 2.1mmの特徴
シリーズの中では最もスポンジが薄いモデルです。薄いとはいえ十分な吸収力がありますが、インパクト時にラケット本体の木材や特殊素材の打球感を感じやすいのが特徴です。ブロックの止めやすさだけでなく、プッシュやカウンターといった攻撃的な技術のやりやすさも残したい選手に適しています。 - 2.3mmの特徴
吸収力と操作性のバランスが最も取れたスタンダードな厚さです。相手の強打をしっかりと減速させつつ、自分から押し込む際には適度な手応えがあるため、初めてA-B-S2ソフトを使用する選手にとって基準となりやすいスペックです。 - 2.5mmの特徴
圧倒的なスピード吸収力を誇る最厚モデルです。相手のフルスイングのドライブであっても、ラケットに当たった瞬間に勢いが消え去るような感覚を味わえます。弾みの強い攻撃用ラケットに貼って、フォアの攻撃力とバックの絶対的な止まり具合を両立させたい選手に強く支持されています。
2. A-B-S2ソフトの5つの徹底性能レビュー
2-1. 相手の強打を無力化する圧倒的なスピード吸収力
A-B-S2ソフトを実際に打ってみて最初に驚くのは、やはりその異次元とも言えるスピード吸収力です。相手のパワードライブやスマッシュ気味の強打に対して、ラケットを前に出して当てるだけで、ボールの勢いが「フッ」と消えるように減速します。
通常の粒高ラバーやテンション系ではない裏ソフトラバーで強打をブロックする場合、自分の手首や肘を引いて衝撃を逃がす「引きブロック」や、ラケット角度をシビアに被せる技術が求められます。しかし、A-B-S2ソフトはスポンジ自体がクッションの役割を果たすため、無理にラケットを引かなくても、壁を作るように当てるだけでコートに収まるのです。
特に、フォア面に威力を重視したアウターカーボンなどの高反発ラケットを使用している異質攻守型プレイヤーにとって、この吸収力は大きな武器になります。ラケット自体の高い反発力をA-B-S2ソフトの分厚い低反発スポンジが完全に打ち消してくれるため、ラケットの弾みを気にすることなく、ネット際にピタリと止まるブロックを連発することが可能です。
2-2. 強烈な下回転を生み出すスピン反転能力の高さ
吸収系アンチラバーの存在意義とも言えるのが、相手の回転をそのまま利用して返す「スピン反転能力(スリップ性能)」です。A-B-S2ソフトのトップシートは、摩擦が極限まで抑えられた特殊な表面加工が施されており、相手がかけた強烈なトップスピン(上回転)がラバー表面で完全にスリップします。
表面でボールが滑るということは、ボールの回転方向が維持されたまま相手コートへ跳ね返ることを意味します。つまり、相手が前進回転をかければかけるほど、こちらがブロックしたボールは猛烈なバックスピン(下回転)となって相手コートへ返球されるのです。
実際にループドライブのような回転量の多いボールをA-B-S2ソフトでブロックすると、相手コートでバウンドした後にボールが前に進まず、その場で沈み込むような軌跡を描きます。相手選手からすれば、自分がかけた回転量以上の強烈な下回転が返ってくるように錯覚するため、2球目以降の連続ドライブがネットに直撃するミスを面白いように誘発できます。
2-3. ネット際にピタリと落とす短距離コントロール性能
スピン反転能力がいかに高くても、返球が相手コートの深くに入ってしまっては、相手は体勢を整えてループドライブで持ち上げることができてしまいます。アンチラバーで相手のミスを誘い、あるいは次の自分の攻撃につなげるためには、相手を前後に揺さぶる「短く止める性能」が不可欠です。
A-B-S2ソフトは、その柔らかいスポンジのおかげで、ボールがラバーに接触してから離れるまでのエネルギーロスが非常に大きく設計されています。そのため、相手のドライブの威力を利用してただ返すだけでなく、ネットすれすれの極めて浅い位置に「2バウンド以上する短いブロック」を落とすコントロールが抜群にやりやすいのです。
相手が台から少し下がって強打を放った瞬間に、この超短距離ブロックでネット際に落とされると、相手は猛ダッシュで前に詰めるしかありません。仮に追いついたとしても、そのボールには強烈な下回転がかかっているため、無理に持ち上げようとしてネットミスをするか、甘く浮いたツッツキを返すしかなくなります。この「短さ」と「強い下回転」のコンビネーションこそが、A-B-S2ソフト最大の得点源となります。
2-4. ソフトスポンジがもたらす独特の打球感と球持ちの変化
これまでの摩擦レス系アンチラバー(特殊アンチ)の多くは、スピン反転能力を高めるためにトップシートだけでなくスポンジも硬めに設計されているものが少なくありませんでした。そのため、打球感が「カツン」「パチン」とプラスチックの板で打っているかのように硬く、ボールをコントロールしている感覚が掴みにくいという弱点がありました。
しかし、A-B-S2ソフトはスポンジ硬度を大幅に落としたことで、アンチラバー特有の硬質感を緩和することに成功しています。ボールが当たった瞬間にトップシートの硬さは感じるものの、その直後に内側のソフトスポンジがグッとへこんでボールを受け止める感覚が手に伝わってきます。
このわずかな「球持ち感(食い込み感)」があることで、ブロック時の安心感が格段に増しています。また、相手の回転量が少ないナックル気味のボールや、中途半端なスピードのボールに対しても、スポンジが適度にボールを吸収してくれるため、従来の硬いアンチラバーで頻発していた「ポコンと浮いてしまうミス」や「角度が合わずに吹っ飛ぶミス」が大幅に軽減されています。
2-5. 攻撃技術(プッシュ・ワイパーショット)における変化とやりやすさ
守備性能に優れたA-B-S2ソフトですが、防戦一方では相手に慣れられてしまいます。そこで重要になるのが、アンチ面を使った攻撃技術です。
まず、相手のツッツキ(下回転)に対してラケットを押し出す「プッシュ」や「リフト」といった技術についてです。A-B-S2ソフトは表面が滑るため、相手の下回転はそのまま前進回転(トップスピン)気味のナックルボールとして返球されます。ソフトスポンジの採用により、インパクト時にボールをグッと奥まで押し込むことができるため、直線的で低く伸びるプッシュを安定して相手コートの深い位置へ送り込むことが可能です。ただし、ラバー自体がまったく弾まないため、手先だけで当てるのではなく、肘や体全体を使ってしっかりと前に押し出すスイングが求められます。
また、ブロック時にラケットを横や斜め下に切り下ろす「ワイパーショット(サイドスピンブロック)」においても、ソフトスポンジが威力を発揮します。ラケットを横に動かしながら当てることで、ボールの減速に加えて不規則な横揺れや、バウンド後に急激に曲がる変化を生み出すことができ、相手のタイミングを完全に狂わせることができます。
3. 技術別!A-B-S2ソフトのポテンシャルを引き出す使い方とコツ
3-1. カットブロック・止めブロック:ラケット角度と力加減の極意
A-B-S2ソフトの真骨頂であるブロックをマスターするためには、裏ソフトラバーや粒高ラバーとは異なる独自の身体操作を理解する必要があります。最も重要なポイントは、「インパクトの瞬間にラケットを振らないこと」と「適切なラケット角度の維持」です。
相手の強いドライブに対して、自分からラケットを下に振る「カットブロック」を行おうとすると、表面がツルツルであるためにボールがラバーを滑り落ちてしまい、ネットミスになりやすくなります。A-B-S2ソフトでは、自分から切る動作は一切不要です。ラケット面を相手コートに対してほぼ垂直(90度)、あるいは相手の回転量に応じてわずかに上に向ける(80〜85度程度)角度で固定し、ボールのバウンド直後(ライジング)にそっと壁を作るイメージで当てます。
力加減としては、グリップを強く握りしめるのではなく、指先で軽く支える程度に脱力しておくことが極意です。手に力が入っていると、ラバーの吸収スポンジが働く前に腕の反発力でボールを弾き返してしまいます。脱力してラケットをそこに置いておくだけで、ラバーが勝手にスピードを殺し、強烈な下回転をかけてくれます。
3-2. レシーブ(ストップ・プッシュ):相手の回転を利用した先手奪取
レシーブ場面において、A-B-S2ソフトは相手のサーブの回転を無力化する最強の盾となります。アンチラバーは相手の回転の影響をほとんど受けないため、順横回転サーブや逆横回転サーブなど、回転のわかりにくいサーブに対しても、基本的にはラケット面を向けた方向に素直に返球することができます。
短い下回転サーブに対しては、バウンド直後を捉えて優しく触るだけで、極端に短い「ピタ止めストップ」が可能です。このとき、相手の下回転が少し残った状態で返るため、相手にとっては非常に持ち上げにくい嫌なボールになります。
逆に、長いサーブや少し浮いた下回転サーブに対しては、積極的に「攻撃的プッシュ」を狙っていきます。コツは、ラケット面をやや上(オープン)に向け、ボールの後ろから前へ、斜め上方向に押し出すようにスイングすることです。相手の下回転が強ければ強いほど、その回転が反転して相手コートで伸びる前進回転のボールになるため、レシーブから一気に相手のバック奥やミドルを突き刺す先手奪取が可能になります。
3-3. 攻撃的スイング(カウンター・スマッシュ):弾まないラバーで飛ばす技術
「A-B-S2ソフトは飛ばないから攻撃ができない」と思われがちですが、打ち方のメカニズムさえ理解すれば、意表を突く攻撃が可能です。弾まないラバーでボールを飛ばすための絶対条件は、「スポンジを潰してラケットの板(合板)で打つ感覚」を身につけることです。
弱いインパクトではソフトスポンジがエネルギーを吸収してしまうため、攻撃する際は思い切ってスイングスピードを上げ、ボールをスポンジの奥にあるラケット本体まで食い込ませる必要があります。
特に有効なのが、相手がこちらの下回転ブロックを嫌がって返してきた「甘いツッツキ」や「浮いたループドライブ」に対するスマッシュ(ミート打ち)です。ラケット面を少し上向きに保ったまま、バン!と弾くようにフラットに叩きつけることで、完全な無回転(ナックル)のボールが直線的に相手コートへ突き刺さります。スピード自体は裏ソフトほど出ませんが、ボールが途中で失速しながら沈むため、相手はタイミングが合わず空振りやネットミスを連発します。
3-4. 試合で効く戦術パターン:フォア面との反転や緩急のつけ方
A-B-S2ソフトの性能を試合の勝利に直結させるためには、単調なブロックを繰り返すだけでなく、裏ソフト面との組み合わせによる「緩急」と「回転ギャップ」の戦術を組み立てることが重要です。
- 王道の「ブロック&スマッシュ」パターン
まずは相手のドライブをA-B-S2ソフトでネット際に短くブロックします。相手が前に走らされて下から持ち上げてきた甘いツッツキやロビング気味のボールを、回り込んでフォア面の裏ソフトラバーで一撃で仕留めます。これが最も得点率の高い黄金パターンです。 - コースを散らす揺さぶり戦術
A-B-S2ソフトのブロックはコースの打ち分けが非常に容易です。相手のフォア前へ短く落とした次のボールを、プッシュでバック奥へ深く突き刺すなど、前後左右の揺さぶりを徹底することで、相手に強打する体勢を作らせません。 - ラケット反転を取り入れた幻惑戦術
レシーブやラリー中にラケットをクルリと反転させ、バック面で裏ソフトのドライブやチキータを放ったり、逆にフォア面でA-B-S2ソフトのカットブロックを出したりする戦術です。ソフトスポンジのおかげでラバーの重量が比較的軽く、反転操作もしやすいため、相手の思考をパニックに陥れることができます。
4. A-B-S2ソフトのメリット・デメリットと向いている選手の特徴
4-1. 導入することで得られる最大のメリット
A-B-S2ソフトをラケットに採用することで得られる最大のメリットは、「相手の攻撃力が高ければ高いほど、こちらの返球の質(変化と止まり具合)が上がる」という点にあります。
通常のラバーであれば、格上の選手やパワーのある選手の強打を受けるのは恐怖でしかありません。しかし、A-B-S2ソフトを使っていれば、相手が全力でパワードライブを打ってくるほど、こちらは当てるだけで「ネット際にピタリと止まる猛烈な下回転ブロック」を返すことができます。
また、レシーブミスが劇的に減ることも大きなメリットです。試合においてサーブ・レシーブの優劣は勝敗に直結しますが、どんなに複雑な回転のサーブであっても、A-B-S2ソフトなら回転の影響を受けずに返球できるため、レシーブに対する精神的なプレッシャーから解放され、ラリー戦に持ち込むことができます。
4-2. 購入前に知っておくべきデメリットと注意点
一方で、購入前に必ず理解しておくべきデメリットや注意点も存在します。最大の注意点は、「回転のないボール(ナックル)や遅いボールに対する処理の難しさ」です。
A-B-S2ソフトは相手の回転と威力を利用するラバーであるため、相手が回転をかけずに軽くつないできたボールや、ナックルサーブに対してただ当てるだけだと、何も変化のない遅いボールがポトリと返ってしまい、相手の絶好のスマッシュの餌食になります。また、ラバー自体が極端に弾まないため、威力のないボールをブロックしようとすると、ネットまで届かずに自陣コートに落ちてしまうミスも起こりやすいです。
さらに、湿気に対する弱さも摩擦レスアンチ特有のデメリットです。雨の日や体育館の湿度が高い環境では、ラバー表面に目に見えない水分の膜が張り、本来のツルツル感が失われて急にボールが引っかかる(滑らなくなる)現象が起きることがあります。これを防ぐためのこまめなケアが必要になる点は覚えておく必要があります。
4-3. 粒高ラバーから移行する選手への適性と違い
現在、粒高ラバー(特にOX=一枚ラバー)を使用していて、さらなる変化や止まり具合を求めてA-B-S2ソフトへの移行を検討している選手も多いはずです。粒高ラバーとA-B-S2ソフトには、明確な違いと適性があります。
粒高ラバーは「粒が倒れること」でスピン反転を起こすため、ある程度以上のスイングスピードやラケットを振り下ろす技術(カットブロック)が必要になります。また、相手の強打に対して粒が限界まで倒れきってしまうと、ラケットの板に当たって暴発(オーバーミス)しやすいという弱点があります。
それに対し、A-B-S2ソフトは粒を倒す必要がなく、表面の低摩擦だけでスリップするため、軽いタッチでも確実にスピン反転が起きるのが強みです。また、分厚い吸収スポンジがあるため、強打に対する耐性は粒高OXよりも圧倒的に上です。ただし、粒高特有の「空中で揺れるようなナックル変化」は出しにくいため、「揺れる変化よりも、とにかく短く止めて回転量のギャップで勝負したい」という粒高選手には、A-B-S2ソフトへの移行が劇的なプラスに働きます。
4-4. こんなプレースタイルの選手に絶対おすすめ!
ここまでの特徴を踏まえると、A-B-S2ソフトは以下のようなプレースタイルや悩みを持つ選手に絶対的におすすめできます。
- 前陣でのブロックとコース取りを主体に戦う異質攻守型選手
- フォアの攻撃力を高めるために弾むカーボンラケットを使いたいが、バックのブロックも止めたい選手
- 相手のサーブの回転が読めず、レシーブミスで失点することが多い選手
- 現在使用しているアンチラバーや粒高ラバーで、相手の強打がオーバーミスしてしまうことに悩んでいる選手
- シニア層や女性プレイヤーなど、少ない運動量で相手を前後に走らせて主導権を握りたい選手
5. A-B-S2ソフトの値段とコストパフォーマンスの考え方
5-1. 定価と実売価格の相場:一般的なラバーとの価格比較
A-B-S2ソフトの購入を検討する際、多くの人が気にするのがその「値段」です。一般的な裏ソフトラバーや国産の粒高ラバーの定価が4,000円〜6,000円前後であるのに対し、Dr.ノイバウアーのA-B-S2ソフトは定価が8,000円〜9,000円前後、卓球専門店などの実売価格でも7,000円〜8,000円台で販売されていることが多く、卓球ラバー全体の中でも高価格帯に位置します。
なぜこれほど高価なのかというと、特殊な低摩擦トップシートの加工技術と、反発力を極限まで抑えた特殊配合のソフトスポンジの製造に高度な技術とコストがかかっているためです。また、ドイツからの輸入品であるため、為替相場や輸送コストの影響を受けやすいという側面もあります。
5-2. 高価格帯でも選ばれ続ける理由とコストパフォーマンスの評価
一見すると「ラバー1枚に8,000円前後」というのは高く感じるかもしれません。しかし、実際に愛用している多くのプレイヤーからは「コストパフォーマンスは決して悪くない、むしろ高い」と評価されています。
その理由は2つあります。1つ目は、他の安価なラバーでは絶対に代替できない唯一無二の性能を持っているからです。一般的なクラシックアンチラバー(2,000円〜3,000円程度)は表面にある程度の摩擦があるため、A-B-S2ソフトのような強烈なスピン反転やピタ止めブロックは物理的に不可能です。「このラバーでしか出せないボールがある」という絶対的な優位性が、価格以上の価値を生んでいます。
2つ目の理由は、裏ソフトラバーに比べて寿命が長く、交換頻度が少なくて済むからです。ハイエンドなテンション系裏ソフトラバーは、毎日練習すると1〜2ヶ月でシートの引っかかりやスポンジの弾みが落ちてしまいますが、アンチラバーであるA-B-S2ソフトは、そもそも「引っかからないこと」「弾まないこと」が性能の核であるため、経年劣化による性能低下が緩やかなのです。
5-3. 購入時に失敗しないためのショップ選びと厚さ選びのポイント
高価なラバーだからこそ、購入時の失敗は避けたいところです。まずショップ選びですが、A-B-S2ソフトのような特殊ラバーは一般的な大型スポーツ量販店には在庫がないケースが多いため、異質ラバーの取り扱いに強い卓球専門店や、信頼できる大手卓球通販サイトを利用するのが確実です。あまりにも長期間店頭で放置されていた古い在庫はスポンジが劣化している可能性もあるため、商品の回転が早い専門店での購入をおすすめします。
また、購入時に最も迷う「スポンジの厚さ選び」ですが、迷った場合は以下の基準で選ぶと失敗がありません。
- 現在使っているラケットが「アウターカーボン」や「7枚合板」など弾みが強い場合
迷わず最も厚い「2.5mm」を選んでください。ラケットの弾みをスポンジがしっかりと吸収してくれます。 - 現在使っているラケットが「5枚合板(オールラウンド用)」や「守備用ラケット」の場合
2.5mmだと飛ばなさすぎてネットミスが増える可能性があるため、バランスの良い「2.3mm」または「2.1mm」を選ぶと、プッシュや攻撃もやりやすくなります。
6. A-B-S2ソフトの寿命と性能を維持するメンテナンス方法
6-1. アンチラバーの寿命を見極めるサインと交換時期の目安
A-B-S2ソフトは長持ちしやすいラバーですが、永久に使えるわけではありません。寿命を見極める最大のサインは、「トップシートの表面コーティングが摩耗し、ボールが引っかかるようになってきたとき」です。
使い始めは鏡のように滑らかでツルツルしていた表面も、何千球、何万球とボールを打つうちに、プラスチックボールとの摩擦によって微細な傷がついたり、表面の低摩擦加工が少しずつ削れたりしてきます。すると、以下のような症状が現れます。
- 以前よりもブロックしたボールの下回転量が減り、相手に簡単に打ち込まれるようになった
- 相手のサーブの回転を少し食らうようになり、レシーブが浮くようになった
- ラバーの中央部分(よく打つ場所)だけツヤが消え、指でなぞると少しキュッと止まる感覚がある
このようなサインが出始めたら交換時期です。練習頻度にもよりますが、週に2〜3回の練習であればおおよそ半年から1年程度は高い性能を維持できるケースが多いです。また、強い打球を受け続けることでソフトスポンジ自体が潰れて復元しなくなり、吸収力が落ちたと感じた場合も買い替えのタイミングとなります。
6-2. 摩擦レス性能を守る!日常のお手入れとクリーニングの注意点
A-B-S2ソフトの寿命を最大限に延ばし、試合中に最高のスリップ性能を発揮させるためには、日常のメンテナンスが極めて重要です。ただし、裏ソフトラバーと同じ手入れをすると一発でラバーがダメになることがあるため注意が必要です。
まず、一般的な裏ソフト用のラバークリーナー(特に粘着性を復活させる成分や、ゴムを膨潤させる成分が含まれているもの)は絶対に使用しないでください。表面の低摩擦コーティングを傷め、逆に摩擦を生んでしまう原因になります。
日常のお手入れとして最も推奨されるのは、「メガネ拭きのような細かいマイクロファイバークロス」で表面のホコリや皮脂を優しく乾拭きすることです。プラスチックボールには白い粉(削りカス)がつきやすく、また自分の指の脂がラバーにつくと、それだけでボールが滑らなくなります。練習中や試合の合間にも、クロスでサッと拭く習慣をつけると性能が維持されます。汚れがひどい場合は、少量の水を含ませた布で拭き取った後、マイクロファイバークロスで完全に水分を拭き取って乾燥させてください。保管時は、表面に傷がつかないよう粘着性のない保護フィルム(非粘着シート)を乗せてケースにしまいましょう。
6-3. 特殊スポンジを傷めないラケットへの貼り方と剥がし方のコツ
A-B-S2ソフトを扱う上で、多くのプレイヤーが苦労するのが「ラケットへの貼り付けと剥がし作業」です。このラバーに採用されている低反発ソフトスポンジは、一般的なラバーのスポンジとは材質がまったく異なり、気泡が細かく非常にデリケートで、引っ張るとすぐにちぎれてしまう性質を持っています。
そのため、通常の卓球用接着剤(水溶性グルー)をスポンジに直接塗ってラケットに貼ると、いざ剥がそうとしたときにスポンジがラケット側に張り付いてボロボロに引き裂かれてしまいます。また、接着剤の水分をスポンジが吸ってしまうことで、本来の吸収性能が変わってしまうリスクもあります。
これを防ぐため、A-B-S2ソフトを貼る際は必ず「接着シート(両面テープ式のラバー貼り付けシート)」を使用してください。手順としては、先に接着シートをラバーのスポンジ面に空気が入らないように貼り、ラバーの形状に合わせてカットしてから、ラケット本体に貼り付けます。
もしラケットからラバーを剥がす際は、無理やり手で引っ張るのではなく、ラケットと接着シートの境目を少しずつ丁寧に浮かせるようにして剥がします。一度ラバーに貼った接着シートをスポンジから剥がそうとするとスポンジが破損するため、別のラケットに貼り替える際は、スポンジについた接着シートは剥がさず、その上から薄い接着剤をラケット側に塗って貼るなどの工夫をすると、高価なラバーを傷めずに再利用できます。
7. A-B-S2ソフトと相性抜群のおすすめラケット組み合わせ
7-1. 吸収力と変化を最大化する特殊素材・ハードウッドラケットとの相性
A-B-S2ソフトの性能を120%引き出す上で、ラケットとの組み合わせ(用具のシナジー)は非常に重要です。実は、摩擦レス系のアンチラバーにおいて最も変化(スピン反転)と短く止まる感覚を両立しやすいのは、「表面の板が硬いラケット」や「アウターに特殊素材(カーボン等)が配置されたラケット」です。
一見すると「弾むラケットに貼ったら飛びすぎてしまうのでは?」と思うかもしれませんが、A-B-S2ソフトの分厚い吸収スポンジ(特に2.3mmや2.5mm)がその弾みを完全に吸収してくれます。その上で、ラケットの表面が硬いことで、インパクトの瞬間にボールがラバー表面で素早くスリップし、スピン反転の効率が最大限に高まるのです。
さらに、アウターカーボンやハードウッド(黒檀やローズウッドなど)のラケットを選べば、フォア面の裏ソフトラバーでの攻撃力はトップ選手並みの威力を確保できます。「バック面はネット際にピタッと止まる極悪な変化ブロック、フォア面は一撃必殺のパワードライブとスマッシュ」という、相手にとって最も対処しづらい究極のメリハリを生み出すことができます。
7-2. 安定感を重視する守備用・オールラウンドラケットとの組み合わせ
もちろん、すでに守備用ラケットや木材5枚合板のオールラウンドラケットを使用している選手にとっても、A-B-S2ソフトは素晴らしい選択肢となります。木材のみのソフトなラケットと組み合わせた場合、ラケット自体がボールを包み込むようにしなるため、ブロックやレシーブの際の圧倒的な安心感とコントロール性能が手に入ります。
どんなに相手の強打が来ても、ラケットとラバーの両方が威力を吸収してくれるため、オーバーミスをすることはまずありません。とにかく徹底的に拾い続け、相手のミスを誘う粘り強いプレースタイルを目指す選手には最適な組み合わせです。
ただし、柔らかい守備用ラケットに2.5mmのA-B-S2ソフトを貼ると、あまりにも弾まなさすぎて、相手の弱いボールを返すときにネットミスをしやすくなることがあります。そのため、守備用ラケットや弾みを抑えた5枚合板に合わせる場合は、スポンジ厚を「2.1mm」または「2.3mm」にして、適度な飛びと攻撃のしやすさを確保するセッティングがおすすめです。
7-3. フォア面に合わせるべき裏ソフトラバーの選び方
バック面にA-B-S2ソフトを貼る場合、フォア面にどのようなラバーを合わせるかによっても戦術の幅が大きく変わります。アンチラバーは重量が非常に軽い(カット後で30グラム前後になることが多い)ため、ラケット全体の総重量が軽くなりすぎることがあります。ラケットが軽すぎると、フォアハンドで打ったときにボールが軽くなったり、相手の強打にラケットが押されたりしてしまいます。
そこで、フォア面にはやや硬めで重量のあるスピン系テンションラバーや、粘着テンションラバーを「特厚(MAX)」で合わせるのがセオリーです。これによりラケット全体の重量バランスが適正化され、フォアの威力が格段に向上します。
また、A-B-S2ソフトの無回転・下回転ブロックと、フォア面の強烈な回転のかかったドライブとの「回転量のギャップ」が大きくなればなるほど、相手はラケット角度の調整が追いつかなくなり、自滅してくれます。回転性能の高い裏ソフトラバーをフォアに据え、バックのA-B-S2ソフトでチャンスメイクをしてフォアで仕留めるスタイルを確立すれば、これまで勝てなかった格上の攻撃型選手を打ち破る大きな武器になるはずです。ぜひ自分のプレースタイルに合った厚さとラケットの組み合わせを見つけ出し、A-B-S2ソフトがもたらす鉄壁の守備と変化をコート上で体感してみてください。

