木材合板の打球感は好きだけど、威力不足に悩んでいませんか?球威がないままでは相手のブロックに捕まり、接戦で勝ち切れない原因になってしまいます。その悩みを解決するのが、スティガの名作「エバンホルツNCT V 中国式」です。外板に希少な黒檀(エバンホルツ)を採用し、5枚合板とは思えない圧倒的な破壊力と繊細な感覚を両立しています。ただし、独特の硬さがあるため、真価を引き出すにはラバー選びが極めて重要です。本記事では、実打レビューからプレイスタイル別の最適ラバーまで徹底解説します。ぜひ最後まで読み進め、理想の用具セッティングを見つけてください!
1. エバンホルツNCT V 中国式の基本スペックと最大の特徴
1-1. 外観と基本スペックの詳細
スウェーデンの老舗卓球メーカーであるスティガ(STIGA)が誇るハイエンド木材合板ラケット、それが「エバンホルツNCT V 中国式」です。まずはこのラケットの基本となるスペックを紐解いていきましょう。合板構成は木材5枚合板で、板厚は約6.2mm前後と、5枚合板としてはやや厚めの設計になっています。中国式ペンホルダー(中ペン)の平均重量は約85gから90g前後に収まる個体が多く、天然木材を使用しているため数グラムの個体差が存在します。
外観において目を引くのは、なんといってもブレード表面の深く美しい黒褐色の木目です。一般的な木材ラケットの明るい色合いとは一線を画す高級感があり、手にした瞬間から所有欲を強く満たしてくれます。グリップ部分にはスティガ伝統のカラーリングと精巧なレンズが埋め込まれており、デザイン性と機能美が見事に融合した一本に仕上がっています。
プラスチックボールへの移行に伴い、多くの選手が特殊素材(カーボンなど)ラケットへ移行するなかにあっても、このラケットは根強い人気を誇っています。その理由は、単なる木材5枚合板の枠に収まらない抜群のスピード性能と球威にあります。木材特有の「自分でボールを掴んで飛ばす感覚」を残しながらも、現代卓球で求められる高速ラリーに十分対応できるポテンシャルを秘めているのです。
1-2. 表面材「黒檀(エバンホルツ)」がもたらす唯一無二の打球感
ラケット名の由来にもなっている「エバンホルツ(Ebenholz)」とは、ドイツ語で「黒檀(コクタン)」を意味します。黒檀は高級家具やピアノの黒鍵、さらには弦楽器の指板などにも使われる非常に希少価値の高い木材です。木材のなかでもトップクラスの比重と硬さを誇り、水に沈むほど密度が高いことで知られています。
この極めて硬い黒檀をラケットの外板(一番外側の板)に採用していることが、エバンホルツNCT Vのアイデンティティと言えます。一般的な木材5枚合板は、表面材にリンバやコトといった比較的柔らかい、あるいは中程度の硬さの木材を使用し、ボールを深く包み込む設計が主流です。しかし、エバンホルツNCT Vは外板に黒檀を配することで、インパクトの瞬間にボールを強く弾き返す鋭い反発力を生み出しています。
一方で、中心材や添芯にはスティガが厳選した比較的柔らかめでしなりを生む木材が組み合わされています。そのため、表面の黒檀でガツンと強いインパクトを与えつつ、強くスイングした際にはラケット全体が適度にしなり、「硬いのに球持ちが良い」という相反する要素を高次元で両立しています。打球音も「カンッ!」という金属音に近い高い響きがあり、打っていて非常に心地よいフィードバックが指先に伝わってきます。
1-3. スティガ独自の「NCT(ナノコンポジットテクノロジー)」とは
ラケット名に含まれる「NCT」というアルファベットは、スティガが独自に開発した「Nano Composite Technology(ナノコンポジットテクノロジー)」の略称です。これは、ナノレベルの極めて微細な粒子をラケット表面のコーティングや接着プロセスに応用する技術であり、ラケットの性能を底上げする重要な役割を担っています。
具体的には、木材の繊維の隙間にナノ粒子が入り込むことで、木材同士の結合力を高めるとともに、ラケット表面のさらなる硬質化を実現しています。この技術により、ボールがラケットに当たった際のエネルギーロスが極限まで抑えられ、スイングの力がそのままボールの初速へと変換されるのです。
また、NCT加工が施されていることで、スイートスポット(ラケットの芯)が通常の木材合板よりも広く感じられるというメリットもあります。中国式ペンはシェークハンドに比べて先端側で打球するケースが多くなりますが、多少センターから外れた位置で捉えても、当たり負けせずに威力のあるボールを相手コートへねじ込むことができます。
1-4. 中国式ペン(中ペン)ならではのグリップ形状と重心バランス
中国式ペンホルダーを選ぶ上で、グリップの握りやすさと重心バランスは勝敗を分ける重要なファクターです。スティガの中国式グリップは、他メーカーと比較してやや太めで丸みを帯びた形状をしており、手のひらにしっかりとフィットするのが特徴です。特に力を入れて握り込むフォアハンドの強打時や、手首を細かく使う台上技術において、グリップ内でラケットがブレにくいという利点があります。
重心バランスについては、外板の黒檀に重量があるため、ラバーを両面に貼るとやや先端重心(トップヘビー)に感じられる傾向があります。先端に重心があることで、遠心力を活かしたドライブやスマッシュを打つ際に、ラケットの重みがそのままボールに乗っていき、相手ブロックを吹き飛ばすような重い球質を生み出すことが可能です。
ただし、普段から超軽量ラケットを使用している選手や、手首の筋力に自信がない選手にとっては、最初は少し振り遅れを感じるかもしれません。そのため、購入時にはショップで重量を指定できる場合は83g〜86g程度の軽めの個体を選ぶか、後述する裏面ラバーの重量調整によって全体のバランスを整えることが、エバンホルツNCT V 中国式を自在に操るための鍵となります。
2. エバンホルツNCT V 中国式の徹底レビュー【攻撃技術編】
2-1. フォアドライブ:5枚合板の常識を覆すスピードと伸び
エバンホルツNCT V 中国式でフォアドライブを打った瞬間、多くのプレイヤーがその圧倒的なスピードとバウンド後の伸びに驚かされます。通常の5枚合板であれば、山なりの弧線を描いて安定して入るものの、相手コートで失速してしまうことが少なくありません。しかし、このラケットは表面の黒檀がボールを強く弾き出すため、直線的で低い弾道を描きながら相手コートの深い位置へ突き刺さります。
特筆すべきは、インパクトの強弱によってボールの性質が変化する点です。軽めのタッチで薄く擦り上げた際には、表面の硬さを利用して回転量の多いループドライブを安定して放つことができます。一方で、身体の回転を使って厚く当てながら強打(パワードライブ)した際には、ラケット内部の木材がグッとたわみ、5枚合板のしなりと黒檀の弾きが合わさった凄まじい破壊力を発揮します。
相手からすると、手元で急に伸びてくるような球質になるため、差し込まれてオーバーミスを誘発しやすくなります。前陣での早い打点でのドライブはもちろんのこと、中陣に下がってからの引き合いでも全く威力負けしないのは、このラケットならではの大きな武器です。
2-2. 裏面ドライブ:弾きの良さがサポートする鋭いスイング
現代の中国式ペンホルダーにおいて必須技術とも言える裏面打法ですが、エバンホルツNCT V 中国式は裏面ドライブとの相性も抜群です。裏面打法は構造上、フォアハンドほど大きなバックスイングを取ることが難しく、コンパクトなスイングで強いインパクトを生み出す必要があります。
柔らかい5枚合板の場合、裏面でボールを捉えた際に球を持ちすぎてしまい、ネットミスになったりスピードが出なかったりすることがあります。しかし、エバンホルツNCT Vは外板が硬いため、コンパクトなスイングでもラケット自体がボールを鋭く弾き出してくれます。手首と前腕を使った瞬間的なスイングだけで、シェークハンドのバックハンドに引けを取らない高速裏面ドライブを放つことが可能です。
さらに、5枚合板ならではの適度な板厚(約6.2mm)のおかげで、特殊素材や7枚合板ほど分厚すぎず、裏面を振る際の空気抵抗や指先の違和感が少ないのも嬉しいポイントです。中陣からの裏面ドライブの連打や、サービスからの3球目裏面攻撃において、高い決定力を発揮してくれます。
2-3. スマッシュ・ミート打ち:黒檀の硬さが生きる圧倒的な決定力
ドライブ以上にエバンホルツNCT V 中国式の真価が発揮されるのが、スマッシュや角度打ちといったミート系の技術です。木材5枚合板の多くは、しなりが強い分だけミート打ちの際にエネルギーが吸収され、球離れが遅くなってしまいがちです。しかし、このラケットは表面の黒檀が極めて硬いため、フラットに当てた瞬間にボールが「パチン!」と小気味よい音を立てて飛び出していきます。
チャンスボールに対するスマッシュはもちろんのこと、相手のループドライブを頂点前の高い打点で叩き落とすカウンタースマッシュも非常にやりやすいのが特徴です。ラケット面を合わせてコンパクトに弾くだけで、相手の反応を許さない超高速ボールを打ち込むことができます。
そのため、ドライブ主戦型の選手だけでなく、表ソフトラバーを貼って前陣でパチパチと弾きまくるペン表速攻型の選手にとっても、これ以上ないほど頼もしい相棒となります。5枚合板の繊細なコントロール性能を維持しつつ、7枚合板やカーボンラケット並みの決定力をミート打ちで出せる点は、他のラケットにはない大きな魅力です。
2-4. カウンター:相手の球威に負けない強靭なブレード性能
試合のレベルが上がるにつれて重要になるのが、相手の強打を前陣で狙い打つカウンター技術です。一般的な木材5枚合板では、相手の重いドライブに対してラケットが押されてしまい、面がブレてオーバーミスやネットミスになるケースが多々あります。
しかし、エバンホルツNCT V 中国式は黒檀の硬さとNCT技術による強靭なブレード剛性を持っているため、相手の強いボールに対しても全く当たり負けしません。相手のドライブの威力を表面の黒檀でしっかりと受け止め、その回転とスピードをそのまま利用して倍返しにするようなカウンタードライブが可能です。
コツとしては、自分で大きく振りにいくのではなく、バウンド直後のライジングを捉えてラケット面を被せ気味にコンパクトに擦り弾くことです。球離れが比較的早いため、相手の回転に呑まれる前にボールを前に飛ばすことができ、前陣に張り付いて高速ピッチで攻め抜くスタイルを強力にバックアップしてくれます。
3. エバンホルツNCT V 中国式の徹底レビュー【台上・守備・サーブ編】
3-1. サーブ:強いインパクトで生み出す猛烈なスピンとスピードロングサーブ
中国式ペンの最大の利点である「手首の自由度」と、エバンホルツNCT Vの「表面の硬さ」が噛み合うことで、サーブの威力と変化幅は劇的に向上します。特に威力を発揮するのが、ラケットの表面でボールを薄く鋭く切る下回転サーブや横回転サーブです。
柔らかいラケットだと、サーブのインパクト時にボールが食い込みすぎてしまい、回転よりも推進力(前に飛ぶ力)が働きやすくなります。対してエバンホルツNCT Vは、外板の黒檀が硬いため、ラバーの表面だけでボールを極限まで薄く擦る感覚が掴みやすいのです。手首を鋭く効かせることで、相手コートでピタッと止まるような猛烈なスピンのショートサーブを自在に繰り出せます。
さらに、このラケットの隠れた武器が「高速ロングサーブ」です。相手のバック奥やミドルを突くロングサーブを打つ際、黒檀の反発力が働くことで、通常の5枚合板とは比較にならないほど初速の速いサーブが飛んでいきます。鋭く切れたショートサーブと、弾丸のようなロングサーブの緩急をつけることで、サーブ権を持った展開で圧倒的な優位に立つことができます。
3-2. ストップ・ツッツキ:硬さを活かした低く鋭い返球と注意点
台上技術であるストップやツッツキにおいては、エバンホルツNCT Vの硬さがメリットにもなり、同時に少し練習を要するポイントにもなります。まずツッツキに関しては、表面が硬く球離れが早いため、相手の回転の影響を受けにくく、鋭く切って直線的に深く送り込む「攻撃的なツッツキ」が非常にやりやすいです。相手のバック深くへ突き刺さるようなツッツキを送ることで、相手に強打を許さない展開を作れます。
ストップに関しても、ボールの勢いをラケットの表面でピタッと殺す感覚を掴めば、ネット際に低く2バウンドする絶妙なストップが可能です。ただし注意点として、ラケット自体の反発力が高いため、ラケット角度を合わせただけの棒立ちのストップでは、黒檀の弾きが働いて少し浮いてしまう(長くなってしまう)ことがあります。
これを防ぐためには、打球の瞬間に指先でラケットの力を抜いて衝撃を吸収するか、ボールの底を薄く捉えて回転で止める技術を身につける必要があります。木材合板ならではの打球情報の伝わりやすさは健在なので、少し練習して力加減を覚えれば、これ以上ないほど質の高い台上処理が可能になります。
3-3. フリック・チキータ:球離れの早さを味方につける先手奪取
現代卓球においてレシーブから先手を取るための必須技術であるフリックや裏面チキータ。エバンホルツNCT V 中国式は、これらの台上攻撃技術において無類の強さを発揮します。
フォア・バックのフリック(払い)では、黒檀の弾きの良さがそのまま活きます。台上の短いボールに対して、手首を使ってコンパクトにパッと弾くだけで、コースを突いた鋭いフリックが面白いように決まります。特に少し浮いた甘いサーブに対しては、一撃で抜き去るような決定力のあるフリックを打ち込むことができます。
また、裏面チキータにおいても、先端重心のバランスとブレードの硬さがプラスに働きます。手首を深く折り曲げてから一気に解放する際、ラケットの先端が鋭く走り、ボールを強く擦り上げることができます。柔らかいラケットのように球を持ちすぎてネットにかける心配が少なく、鋭い弧線を描いて相手コートの角へ突き刺さる攻撃的なチキータが武器になります。
3-4. ブロック・ショート:相手の強打を跳ね返す壁のような安定感
守備技術であるブロックやペンのショートにおいても、エバンホルツNCT V 中国式は高いパフォーマンスを見せてくれます。従来の5枚合板では、相手のパワードライブを受けた際にラケットが後ろに押され、ブロックが浅くなったりオーバーミスになったりすることが弱点でした。
しかし、エバンホルツNCT Vはブレード剛性が非常に高いため、ラケット面をしっかりと固定して当てるだけで、相手のボールの威力を吸収しつつ鋭く跳ね返すことができます。特に表面を使った伝統的なペンのショートやプッシュでは、黒檀の弾きを活かして「止めるブロック」から「コースを突いて押し込む攻撃的ショート」への切り替えが容易です。
もちろん裏面を使ったバックハンドブロックも安定します。球離れが早い分、相手の強烈なスピンにラバーが噛みすぎる前にボールが飛び出してくれるため、少し面を被せて前に押し出すだけで、低く速いカウンターブロックとして相手コートへ返球できます。守勢に回った場面からでも、ブロック一発で形勢を逆転できるポテンシャルを持っています。
4. エバンホルツNCT V 中国式のメリット・デメリットと向いている選手
4-1. 使用して実感する3つの大きなメリット
エバンホルツNCT V 中国式を実際に使用して得られる最大のメリットは、以下の3点に集約されます。
- 特殊素材ラケットに匹敵する圧倒的なスピードと球威
木材5枚合板でありながら、アウターカーボンなどの特殊素材ラケットに負けないほどの初速と威力を出せます。「カーボンの人工的な打球感は苦手だけれど、威力は絶対に落としたくない」というワガママな要望を完璧に満たしてくれます。 - 指先にダイレクトに伝わるクリアな打球感
特殊素材が入っていない純粋な木材合板であるため、「今、どのようにボールを捉えたか」という情報が指先にクリアに伝わります。これにより、試合中の微調整がしやすく、サーブや台上の繊細なタッチを狂わせません。 - 粘着ラバーからテンション、表ソフトまで受け入れる懐の深さ
外板が硬く、かつ全体に適度なしなりがあるため、硬い粘着ラバーを貼ってもラケットが負けず、柔らかいテンションラバーを貼っても食い込みと弾きのバランスが取れます。また、表ソフトの弾きも抜群という万能性を備えています。
4-2. 購入前に知っておくべき2つのデメリット
一方で、すべての人にとって完璧なラケットというわけではなく、購入前に理解しておくべきデメリットも2つ存在します。
- 木材合板のなかでは価格が高価であること
外板に非常に希少な高級木材である「黒檀」を使用しているため、一般的な木材5枚合板(数千円〜1万円前後)と比較すると、定価が2万円を超える高価格帯に設定されています。ただし、その価格に見合うだけの唯一無二の性能と高級感を備えていることは間違いありません。 - ある程度のスイングスピードとインパクトの強さが求められること
表面が非常に硬いため、スイングスピードが遅く、当てるだけの弱いインパクトでドライブを打とうとすると、ラケットがしならず表面だけで弾いてしまい、棒球になったりネットミスになったりすることがあります。初心者を脱却し、自分の力でしっかりスイングできる中級者以上の選手にこそ真価を発揮するラケットです。
4-3. このラケットが向いている選手のプレイスタイル
ここまでの特性を踏まえると、エバンホルツNCT V 中国式は以下のようなプレイスタイルや悩みを持つ選手に強くおすすめできます。
- 木材合板の打球感を維持したまま、ドライブやスマッシュの決定力を上げたい中・上級者
- フォア面に中国製の粘着ラバー(キョウヒョウなど)を貼り、前・中陣で威力のあるパワードライブを連打したい選手
- 表面に表ソフト、裏面に裏ソフトを貼り、スマッシュと裏面ドライブを織り交ぜて戦うペン粒・ペン表の攻撃型選手
- 特殊素材(カーボン)ラケットを試したものの、球離れの早さや台上の浮きに悩んで木材に戻したいと考えている選手
4-4. 他の名作ラケット(ローズウッド・クリッパーウッド・特殊素材)との違い
スティガには他にも多くの名作ラケットが存在するため、それらとの違いを明確にしておきましょう。
まず、同じ時期に登場し並び称されることが多い「ローズウッドNCT V」との比較です。ローズウッドは外板に紫檀(ローズウッド)を使用しており、エバンホルツよりもわずかに柔らかく、球持ちと弧線の描きやすさに優れています。安定感と回転量を重視するならローズウッド、直線的なスピードと弾き・一発の威力を重視するならエバンホルツを選ぶのが正解です。
次に、木材7枚合板の代名詞である「クリッパーウッド」との比較です。クリッパーウッドは板厚が約6.5mm〜7.0mmと厚く、全体的な押し出しの強さがありますが、重くしなりは少なめです。エバンホルツNCT Vは5枚合板であるため、クリッパーウッドよりも板が薄く、強打時のしなりと裏面打法の振り抜きやすさで優位に立っています。
最後に、一般的なアウターカーボンラケットとの比較です。アウターカーボンは軽い力でも勝手に飛んでいきますが、強く打った時の伸びしろが頭打ちになることがあります。エバンホルツNCT Vは木材であるため、自分が強く振れば振るほど、それに比例してボールの伸びと重さが増していく(上限値が高い)という明確な違いがあります。
5. エバンホルツNCT V 中国式に合うおすすめラバー【フォア面編】
5-1. 王道の中国粘着ラバー:キョウヒョウNEO3・ディグニクス09C
エバンホルツNCT V 中国式のフォア面に最もおすすめしたい黄金の組み合わせが、硬めのスポンジを持つ粘着ラバー(および粘着性テンションラバー)です。中国ナショナルチームの選手たちが黒檀や紫檀の5枚合板を愛用してきた歴史が証明するように、この組み合わせは究極のシナジーを生み出します。
具体的な銘柄としては、紅双喜の「キョウヒョウNEO3(またはプロ3ターボブルーなど)」、そしてバタフライの「ディグニクス09C」が筆頭に挙げられます。通常、粘着ラバーはスポンジが硬く飛ばないため、柔らかい5枚合板に貼るとスピード不足に陥りがちです。しかし、エバンホルツNCT Vの外板の硬さが硬いスポンジをしっかりと支え、強いインパクトで食い込ませた瞬間に、粘着特有の猛烈なスピンと黒檀のスピードが融合した凶悪なドライブが放たれます。
特に「ディグニクス09C」を貼った場合は、従来の中国粘着ラバーよりも弾みがプラスされるため、前陣でのカウンターから中陣での引き合いまで、一切の死角がないトップ仕様の用具セッティングが完成します。サーブの切れ味とストップの止まり方も天下一品です。
5-2. 威力重視のスピン系テンション:ディグニクス05・ファスタークG-1
「粘着ラバーよりも、テンションラバーのスピード感と弾みで勝負したい」という選手には、シートが強くやや硬めのスピン系テンションラバーがベストマッチします。代表格はバタフライの「ディグニクス05」と、ニッタクの「ファスタークG-1」です。
エバンホルツNCT Vは直線的な弾道になりやすい特性があるため、ラバー側でしっかりと弧線(山なりの軌道)を作ってあげることで、スピードと安定感が劇的に向上します。「ディグニクス05」の高い回転性能と弧線を描く力は、エバンホルツの鋭い弾きと噛み合い、相手コートの深い位置へ急激に沈み込むようなパワードライブを可能にします。
また、コストパフォーマンスと性能のバランスに優れた「ファスタークG-1」も非常に相性が良いです。G-1は強いインパクトで打った時に真価を発揮するラバーですが、エバンホルツの硬い表面材がG-1のシートとスポンジを効率よく潰してくれるため、ミート打ちのやりやすさとドライブの威力を高いレベルで両立できます。
5-3. スティガ純正の黄金コンビ:DNAプラチナXH・DNAプロH
ラケットと同じメーカーであるスティガのラバーを合わせる「純正セッティング」も、開発段階から相性が計算されているため間違いのない選択肢です。なかでもドイツ製の最新テンションラバーである「DNAプラチナ XH(エクストラハード)」や「DNAプロ H(ハード)」は、エバンホルツNCT Vのために作られたと言っても過言ではないほどの好相性を見せます。
DNAプラチナシリーズは、シートが薄く設計されており、その分だけ分厚いスポンジ(MAX厚さ)を搭載できるのが特徴です。エバンホルツNCT Vの硬い黒檀ブレードで、この分厚く硬いスポンジをガツンと食い込ませることで、凄まじい反発エネルギーと重低音の効いた重いボールを生み出すことができます。
さらに、DNAシリーズは打球時のグリップ力が高く、かつ球離れが適度に早いため、中国式ペン特有の「擦り打ち」と「弾き打ち」のどちらにも対応しやすいというメリットがあります。自分のスイングスピードに自信があるなら「プラチナXH(硬度52.5度)」、もう少し扱いやすさと安定感を求めるなら「プロH(硬度47.5度)」を選ぶと良いでしょう。
5-4. ペン表速攻に最適な表ソフト:モリストSP・ラクザPO
エバンホルツNCT V 中国式は、フォア面に表ソフトラバーを貼る「ペン表速攻型」の選手からも絶大な支持を集めています。木材5枚合板でありながら表面の黒檀が強く弾いてくれるため、特殊素材ラケットのような不自然な飛びすぎを抑えつつ、表ソフト特有のナックル(無回転)や高速スマッシュを自在に繰り出せるからです。
おすすめの銘柄は、ニッタクの王道テンション表ソフト「モリストSP」と、ヤサカの回転系テンション表ソフト「ラクザPO」です。「モリストSP」を組み合わせた場合、黒檀の硬さとモリストの柔らかいスポンジが絶妙にマッチし、軽いタッチでのブロックはピタッと止まり、強打した時には音が鳴り響くような快音スマッシュが決まります。
一方、ドライブも多用する現代的なペン表スタイルを目指すなら「ラクザPO」が最適です。粒の配列が縦目で回転がかけやすく、エバンホルツのしなりを活かした「表ソフトでのドライブ」と、黒檀の硬さを活かした「角度打ち・ミート打ち」の緩急で相手を翻弄することができます。
6. エバンホルツNCT V 中国式に合うおすすめラバー【裏面編】
6-1. 回転とスピードを高次元で両立:テナジー80・ロゼナ
中国式ペンの裏面ラバー選びでは、「少ないスイング幅でもしっかり食い込んで飛んでくれること」と「回転のかけやすさ」が重要になります。エバンホルツNCT Vの裏面において、圧倒的な扱いやすさと威力を約束してくれるのが、バタフライの「テナジー80」と「ロゼナ」です。
エバンホルツNCT Vは表面が硬いため、裏面にもフォア面と同じようなカチカチの硬いラバーを貼ってしまうと、コンパクトな裏面スイングではラバーが食い込まず、ボールが落ちてしまう原因になります。そこで、適度な柔らかさを持つスプリングスポンジを搭載した「テナジー80」を貼ることで、ラケットの硬さとラバーの食い込みが見事に中和され、回転量の多い裏面ドライブと鋭い裏面ブロックの両方が自動化されます。
また、裏面打法をこれから習得したい方や、ミスを減らして安定感を最優先したい方には「ロゼナ」が強く推奨されます。ロゼナは打球の角度が多少狂っても補正してくれる許容度の高さがあり、かつ重量もテナジーより軽めです。エバンホルツの弾きの良さをロゼナが優しく包み込み、試合の緊迫した場面でも安心して裏面を振り抜くことができます。
6-2. 軽量で振り抜きやすさを重視:ヴェガヨーロッパ・ファクティブ
「1-4.」でも触れた通り、エバンホルツNCT V 中国式は外板の黒檀の比重が高いため、両面に重いラバーを貼ると総重量が185g〜190g近くになり、手首への負担が大きくなるケースがあります。そこで、ラケット全体の重量を軽くし、振り抜きやすさと操作性を劇的に高めるための裏面ラバーとして、XIOMの「ヴェガヨーロッパ」とニッタクの「ファクティブ」をおすすめします。
「ヴェガヨーロッパ」は、非常に柔らかいスポンジを持ったテンションラバーで、カット後の重量がかなり軽く収まります。エバンホルツNCT Vの裏面に貼ると、その柔らかさのおかげで弱いインパクトでも簡単にボールが食い込み、高い金属音とともに気持ちよく山なりの裏面ドライブが入るようになります。チキータの引っかかりも抜群です。
ニッタクの「ファクティブ」も同様に軽量で、クセのない素直な弾道が特徴です。フォア面に重い粘着ラバー(キョウヒョウなど)を貼る場合、裏面にこのファクティブやヴェガヨーロッパを合わせることで、総重量を175g〜180g前後の理想的なレンジに抑えることができ、前陣での細かい切り返しや連続攻撃が格段にスムーズになります。
6-3. 裏面での弾きと変化を狙うなら:テンション系表ソフトという選択肢
少数派ながら非常に実戦的で相手が嫌がるセッティングとして、フォア面に裏ソフトを貼り、裏面にテンション系表ソフトを貼るスタイルもエバンホルツNCT V 中国式にはよく合います。
裏面打法は、実はミート打ちや弾き打ちの角度を出しやすいという構造上のメリットがあります。相手のサーブに対して裏面チキータを狙うと見せかけて、表ソフトでパチンと弾くレシーブや、バック対バックのラリーでナックル性の裏面プッシュを混ぜることで、相手のリズムを完全に崩すことができます。
この用途で合わせるなら、スポンジが柔らかめで食い込みが良い「モリストSP」の厚(または中)や、回転もかけやすい「VO>102(VICTAS)」などが適しています。エバンホルツの黒檀が表ソフトの弾きを最大限に引き出してくれるため、裏面からでも一撃で抜き去るような高速カウンターを放つことが可能です。
7. エバンホルツNCT V 中国式を長く愛用するためのメンテナンスと加工術
7-1. 板剥がれを防ぐラケットコートの正しい塗り方
スティガのラケット、特にこのエバンホルツNCT Vを使用する上で、絶対に欠かせない最重要メンテナンスが「ラケットコート(表面保護剤)」の塗布です。スティガのラケットは伝統的に、打球感を損なわないよう工場出荷時の表面コーティングが最小限に抑えられており、さらに黒檀という木材は繊維が硬く密である反面、ラバーを剥がす際に繊維ごとバリッと剥がれてしまう「板剥がれ」が起きやすいという性質を持っています。
せっかく購入した高級ラケットが、最初のラバー貼り替えで板剥がれを起こしてしまったらショックは計り知れません。そのため、新品のラケットを購入したら、最初のラバーを貼る前に必ず市販のラケットコートを塗るようにしてください。
塗り方のコツは、「薄く塗って完全に乾かす工程を2回繰り返すこと」です。一度にドバっと厚塗りしてしまうと、塗膜が分厚くなりすぎてしまい、エバンホルツ本来の繊細な打球感や球持ちが失われてしまいます。スポンジや指先を使ってブレードの両面に薄く均一に塗り広げ、30分〜1時間ほど乾燥させた後、表面を目の細かい紙やすり(1000番〜1500番程度)で軽く撫でてから2度塗りをすると、打球感を一切変えずに完璧な防具を作ることができます。
7-2. 中国式ペンの命!指が痛くならないグリップ削りのコツ
中国式ペンホルダーは、自分の指の形に合わせてグリップの根本(エラの部分)を削ることで初めて完成します。しかし、エバンホルツNCT Vを削る際には一つ注意点があります。それは、外板の黒檀が信じられないほど硬いため、普通のカッターナイフや粗悪な紙やすりではなかなか削れないということです。
無理にカッターで深く抉ろうとすると、硬い黒檀に刃が引っかかり、思わぬ方向に刃が滑って怪我をしたり、必要な部分まで大きく欠けてしまったりする危険があります。エバンホルツを削る際は、金属製の半丸ヤスリ(木工用または鉄工用の細目)をベースの成形に使い、仕上げとして120番→240番→400番の紙やすりを順番にかけて滑らかにするのが最も安全かつ綺麗に仕上げる方法です。
また、最初から完璧な深さまで削りきるのではなく、まずは「少し浅めかな?」と思う程度で止めておき、実際にボールを打ちながら人差し指や親指が当たって痛む箇所を少しずつ削り足していくのが鉄則です。削りすぎた木は元には戻らないため、焦らず自分の手に馴染む最高のグリップを育て上げていきましょう。
7-3. 重量バランスを整えるサイドテープとラバーの貼り方
エバンホルツNCT V 中国式を快適に振り抜くための最後の仕上げが、ラバーの貼り方とサイドテープによる重心調整です。中国式ペンで裏面ラバーを貼る際、グリップの根元までピッタリ貼るのか、それとも指が当たるスペースを1cm〜1.5cmほど空けて貼るのかによって、ラケットの総重量と重心バランスが大きく変わります。
もしラケットを振ってみて「先端が重くて振り遅れる」「手首が疲れる」と感じる場合は、裏面ラバーをグリップから1.5cmほど離して貼る(面積を小さくする)ことで、約2g〜3gの軽量化が図れ、重心が手元側に寄って格段に振り抜きやすくなります。逆に、威力を最大化したい場合や、裏面でも広い打球面を確保したい場合は、隙間を空けずに根元まで貼るのがおすすめです。
また、サイドテープについても、重さを少しでも抑えたいのであれば、あえてサイドテープを貼らないか、6mm〜8mm幅の薄く軽いタイプを選びましょう。ただし、黒檀は角を台にぶつけると欠けやすい性質があるため、ブレード先端の保護という観点からは、先端部分だけでも薄手のサイドテープを貼っておくことが、名作ラケットを長く美しい状態で使い続けるための秘訣です。
8. エバンホルツNCT V 中国式のレビューとラバー相性まとめ
8-1. 理想のセッティングでワンランク上の攻撃力を手に入れよう
スティガの「エバンホルツNCT V 中国式」は、希少な黒檀(エバンホルツ)を外板に採用し、独自のNCT技術を融合させることで、「木材5枚合板の繊細な打球感」と「特殊素材ラケットに匹敵する圧倒的なスピード・破壊力」を見事に両立させた唯一無二のラケットです。
フォアドライブの直線的な伸び、裏面ドライブの鋭い弾き、そしてスマッシュやカウンターにおける決定力の高さは、プラスチックボール時代における木材合板のひとつの到達点と言えます。また、硬いブレードを活かしたサーブの切れ味やフリック・チキータでの先手奪取など、中国式ペンホルダーの持つ長所を余すことなく引き出してくれます。
そのポテンシャルを100%解放するためには、自分のプレイスタイルに合ったラバー選びが不可欠です。
- 回転と威力の絶対値を求めるなら「キョウヒョウNEO3」や「ディグニクス09C」などの粘着系
- スピードと弧線のバランスで攻めるなら「ディグニクス05」「ファスタークG-1」「DNAプラチナ」などのスピン系テンション
- 前陣での高速スマッシュと変化で勝負するなら「モリストSP」「ラクザPO」などの表ソフト
- 裏面には操作性と食い込みを補う「テナジー80」「ロゼナ」「ヴェガヨーロッパ」
ぜひ本記事の解説を参考に、ラケットコートでの保護や丁寧なグリップ削りを施した上で、あなたにとって最高のラバーを組み合わせてみてください。エバンホルツNCT V 中国式が放つ黒き輝きと圧倒的な球威が、あなたの卓球を間違いなくワンランク上のステージへと引き上げてくれるはずです!

