「木材5枚合板の打球感は好きだけど、プラスチックボールになってから威力不足を感じる…」と悩んでいませんか?特殊素材ラケットに変えると勝手に飛んでしまい、台上に収まらないと後悔するシェークハンド選手は少なくありません。そんな悩みを解決するのが、スティガの名作「エバンホルツNCT V」です。最高級木材である黒檀を上板に採用し、木材特有のしなりと特殊素材並みのスピードを高次元で両立しています。本記事では、シェークハンドモデルの徹底レビューから、性能を120%引き出す相性抜群のラバーまで余すことなく解説します。ぜひ最後まで読み進め、あなたにとって最高の武器を見つけてください!
1. エバンホルツNCT V(シェークハンド)の基本情報と4つの特徴
1-1. 基本スペックと木材5枚合板の構成
スウェーデンの老舗卓球メーカーであるSTIGA(スティガ)が誇るフラッグシップモデルのひとつが、エバンホルツNCT V(Ebenholz NCT V)です。数ある木材ラケットの中でも、トップ選手から中上級者まで長年にわたり絶大な支持を集め続けています。まずはシェークハンドモデルの基本的なスペックを確認しておきましょう。
- 合板構成
木材5枚合板 - ブレードサイズ
約157×150mm(シェークハンド標準サイズ) - 板厚
約6.2mm
※個体差により6.0mm〜6.2mm前後 - 平均重量
約85g±5g - スピード性能
ミッドファスト〜ファスト - 打球感
ハード(木材5枚合板の中では硬め) - 生産国
スウェーデン
一般的な木材5枚合板(オルラウンドエボリューションやコルベルなど)は板厚が5.5mm〜5.9mm程度に設計されていることが多い中、エバンホルツNCT Vは約6.2mmというやや厚めの設計になっています。中芯(中心材)と添材にはスティガ伝統の厳選された木材が使用されており、ラケット全体の剛性を高めつつも、強打時には5枚合板特有の「しなり」がしっかりと発生する絶妙なバランスで組み上げられています。この基本設計こそが、現代卓球において木材5枚合板でありながら第一線で戦える最大の理由です。
1-2. 上板に採用された最高級木材「黒檀(エバンホルツ)」の威力
このラケットの最大のアイデンティティは、表面の上板(アウター材)に最高級木材である「黒檀(エバンホルツ)」が使用されている点にあります。黒檀は高級家具やピアノの黒鍵、さらにはギターやバイオリンといった弦楽器の指板にも使われる非常に希少な木材で、木材の中でもトップクラスの比重(重さ)と硬さを持っています。
卓球のラケットにおいて上板が硬いということは、ボールが当たった瞬間のエネルギーロスが極めて少ないことを意味します。一般的な柔らかい木材(リンバ材など)を上板に使った5枚合板では、ボールがラケットに深く食い込む一方で、球離れが遅くなりスピードが出にくいという弱点がありました。しかし、エバンホルツNCT Vは上板の黒檀がボールをガッチリと受け止め、硬質な弾きと鋭い球離れを生み出します。
それでいて、内側の添材と中芯は柔らかい木材で構成されているため、強いインパクトでスイングした際にはラケット全体がグッと撓(しな)ります。つまり、「表面は硬く弾きが良いのに、芯は柔らかくてボールを掴む」という、相反する要素を見事に融合させているのです。
1-3. STIGA独自の「NCT」と「ダイヤモンドタッチテクノロジー」
エバンホルツNCT Vの名称にも含まれている「NCT」とは、ナノコンポジットテクノロジー(Nano Composite Technology)の略称です。これは合板を接着する際、ナノレベルの極めて微細な粒子を接着剤に配合するスティガ独自の特殊技術です。木材の繊維の奥深くまでナノ粒子が浸透することで、木材同士の結合力が飛躍的に高まり、ラケット全体の反発力とスイートスポットの広さが大幅に向上しています。
さらに、ラケットの表面仕上げには「ダイヤモンドタッチテクノロジー」が施されています。黒檀というただでさえ硬い木材の表面を、特殊技術によって鏡面のように極めて滑らかかつ硬質に仕上げることで、打球時のクリアな響きとスピード感をさらに引き上げています。ラバーを貼り替える際にラケット表面の木目が剥がれにくいという実用的な恩恵もあり、細部までスウェーデン職人のこだわりが詰まった仕上がりとなっています。
1-4. シェークハンドのグリップ展開とそれぞれの握り心地
スティガのシェークハンドラケットは、他メーカーと比較してもグリップの形状に独自のこだわりと名称があります。エバンホルツNCT Vで展開されている主なシェークハンドのグリップは以下の通りです。
- FLA(マスター / 細めフレア)
日本国内で最も流通している標準的なフレアグリップです。スティガのFLAは、バタフライなどの国産メーカーのFLと比較すると、やや平べったく、裾野の広がりが緩やかなのが特徴です。手のひらに吸い付くようなフィット感があり、フォアとバックの握り替えがスムーズに行えます。 - STR(クラシック / ストレート)
根強いファンを持つストレートグリップです。角が立ちすぎておらず、全体的に丸みを帯びた角丸形状になっています。指先でラケットの角度を微調整しやすく、バックハンドの自由度や台上での小回りを重視する選手に絶大な人気を誇ります。 - ANA(ウィナー / アナトミック)
手のひらのくぼみにフィットするように中央部分が膨らんだ形状です。一度握ると手の中でラケットがブレないため、フルスイングを多用するパワーヒッターに向いています。 - LEG(レジェンド / 太めフレア)
海外規格の太めのフレアグリップです。手が大きい選手や、ラケットを深くガッチリと握り込みたい選手に適しています。
どのグリップを選んでも、レンズ(銘板)が埋め込まれた上品なブラウン系のグリップ材と、ブレードの黒褐色のコントラストが非常に美しく、所有欲を強く満たしてくれるデザインとなっています。
2. エバンホルツNCT Vの打球感と性能徹底レビュー【技術別】
2-1. ドライブ(対上回転・対下回転):圧倒的な弧線と伸びる球質
シェークハンドの攻撃型選手にとって最も重要なドライブ性能ですが、エバンホルツNCT Vは「木材5枚合板の完成形」と呼べるほどの高いポテンシャルを発揮します。
まず対上回転のラリー(フォアドライブやバックドライブの引き合い)では、黒檀の硬さが活きてボールの初速が非常に速いのが特徴です。一般的な5枚合板だと、中陣に下がった際にボールが失速して浅くなりがちですが、このラケットは中陣からでも相手コートの深い位置へ突き刺さるようなドライブが打てます。バウンド後にグッと伸びる球質になるため、相手がブロックで差し込まれる場面が目立ちます。
そして特筆すべきは対下回転に対するループドライブとスピードドライブの打ち分けやすさです。下回転に対して薄く擦り上げた際、上板の黒檀がボールの表面を鋭く引っ掛け、驚異的な回転量のループドライブを生み出します。一方、しっかり腰を落として厚く当てながら振り抜けば、ラケット全体がしなってボールを上に持ち上げてくれるため、ネットミスを恐れずに一発で打ち抜くパワードライブが可能です。「自分でスイングした分だけ正確に弧線を描いてくれる」という安心感は、カーボンラケットではなかなか味わえない領域です。
2-2. ミート打ち・スマッシュ:黒檀の硬さがもたらす爽快な弾き
木材5枚合板の多くは、ドライブはやりやすいものの、スマッシュや角度打ちといった「弾く技術」になるとボールがラケットに吸い込まれすぎてしまい、威力が半減してしまう傾向があります。しかし、エバンホルツNCT Vはこの常識を覆します。
上板の黒檀が非常に硬いため、フラットにボールを叩いた瞬間、「カンッ!」という高く澄んだ金属音に近い打球音とともに、ボールが鋭く飛び出していきます。チャンスボールに対するフォアスマッシュはもちろん、シェークハンドのバック面で相手のループドライブをパチンと弾き返すミート打ちが驚くほど爽快に決まります。
しなりすぎない適度な板厚(約6.2mm)と表面の硬さが組み合わさることで、面を合わせた角度通りにボールが直進してくれます。ドライブ主戦型でありながら、甘いボールは迷わずミート打ちやスマッシュで仕留めたい選手にとって、これ以上ない武器になります。
2-3. ブロック・カウンター:相手の威力を吸収し跳ね返す安定感
守備から攻撃へ転じるブロックやカウンターにおいても、エバンホルツNCT Vは独特の強みを見せます。相手の強烈なドライブをブロックする際、特殊素材ラケットだと反発しすぎてオーバーミスになることがありますが、このラケットは木材の芯が衝撃を適度に吸収し、台の中にピタッと収めてくれます。
それでいて、上板が硬いため相手の回転に押し負けません。当てるだけの受動的なブロックでもボールが死なず、少し前に押し出すように伸ばすブロックをすれば、そのままノータッチで抜けるほどのスピードが出ます。
さらに威力を発揮するのが前陣〜中陣でのカウンタードライブです。相手のドライブの上昇期や頂点を捉えてコンパクトにスイングした際、上板の硬さで相手の回転を上書きしつつ、5枚合板のしなりで安全な弧線を作って相手コートへねじ込むことができます。打球の感覚が手にダイレクトに伝わるため、「今、どれくらい噛んだか」が明確に分かり、試合中の微調整が非常に容易です。
2-4. 台上技術(ツッツキ・ストップ・フリック):木材5枚合板ならではの繊細なタッチ
現代のシェークハンド卓球では、チキータやストップ、フリックといった台上技術の精度が勝敗を直結します。エバンホルツNCT Vは、強いインパクトには高い反発力を示す一方で、弱いインパクト(タッチプレイ)に対しては木材らしく大人しく反応するという二面性を持っています。
ストップレシーブをする際は、ラケットが勝手に弾まないため、ネット際にビタッと2バウンドで止まる短いストップが簡単にコントロールできます。また、ツッツキでは上板の硬さを利用してボールの底を鋭く切ることで、相手が持ち上げづらくなるほどの重たい下回転を送ることが可能です。
台上での攻撃技術であるフリックやチキータにおいても、ボールを「掴んでから弾き出す」感覚が明確にあります。特にバックハンドでのチキータでは、ラケットの先端を使ってボールを擦り上げる際、しっかりとした引っ掛かりを感じられるため、横回転や上回転の強い変化球チキータを安定して繰り出すことができます。
2-5. サーブ・レシーブ:強い回転量とコース突きのしやすさ
サーブにおいて最も重要なのは「回転量」と「長短のコントロール」です。エバンホルツNCT Vは上板が硬いため、インパクトの瞬間に手首を強く使うことで、ラバーの表面と上板の間でボールを強烈に擦ることができます。その結果、特殊素材ラケットでは出しにくい、低く鋭く切れた下回転サーブや横回転サーブを自在に操れます。
また、ロングサーブ(スピードサーブ)を出す際には、黒檀の弾きの良さが味方します。バウンド後に相手コートのエンドライン際へ素早く突き刺さる高速ロングサーブが出せるため、短いサーブとの緩急がより一層際立ちます。レシーブ時にも手のひらに伝わる情報量が多いため、相手のサーブの回転量を瞬時に手の感覚で読み取り、適切なラケット角度で返球できる高い操作性を備えています。
3. エバンホルツNCT V(シェーク)を使用するメリット・デメリット
3-1. 使用する3つのメリット:球持ちと威力の完璧な両立
シェークハンド選手がエバンホルツNCT Vを選ぶメリットは、大きく以下の3点に集約されます。
- プラスチックボールに負けない圧倒的な威力
木材5枚合板の枠を超えたスピードと球威があり、アウターカーボンに近い感覚で攻撃的なプレーが可能です。 - 自分の意思が100%伝わるマニュアル感
強打すれば飛び、優しく触れれば止まるという、プレイヤーの力加減に対するリニアな反応(線形性)が抜群です。 - 回転量の最大値が極めて高い
しっかりスイングした際の「しなり」と上板の引っ掛かりにより、相手のブロックを弾き飛ばすような重たいスピンボールが打てます。
「木材の打球感や弧線の作りやすさは絶対に手放したくない、しかし今のラケットでは相手に打ち抜かれてしまう」というジレンマを抱える選手にとって、唯一無二の回答となるラケットです。
3-2. 知っておくべき2つのデメリット:重量管理と湿気・汗への対策
どれほど優れた名作ラケットであっても、特性ゆえの注意点やデメリットは存在します。購入前に以下の2点を必ず理解しておきましょう。
- ラケット単体の重量が重めになりやすい
上板に使われている黒檀は非常に比重が重い木材です。そのため、カタログ上の平均重量は約85gとなっていますが、市場に出回っているシェークハンドの個体は88g〜93g前後の重い個体が多く存在します。両面に重たいスピン系テンションラバーや粘着ラバーの特厚を貼ると、総重量が190gを超えてしまうケースも珍しくありません。 - 木材であるため湿気の影響を受けやすい
特殊素材(カーボンやアリレートなど)が挟まれていない純木材ラケットであるため、梅雨の時期や体育館の激しい湿気によって、打球感がわずかに柔らかく(飛ばなく)感じることがあります。乾燥剤を入れたラケットケースで保管するなどの基本的なケアが必要です。
3-3. おすすめできるプレイヤーの戦型とレベル
エバンホルツNCT V(シェークハンド)が最も輝くのは、以下のようなプレイヤーです。
- 戦型
前〜中陣での両ハンドドライブ主戦型、ドライブとミート打ちを織り交ぜるオールラウンド攻撃型 - レベル
基礎技術が身についた中級者〜全国大会を目指す上級者 - 求めている感覚
特殊素材の人工的な打球感が苦手で、自分のスイングでボールをコントロールして威力あるボールを打ちたい選手
逆に、まだスイングスピードが十分に備わっていない初心者や、ラケットの反発力だけに頼って軽く当てるだけで速い球を打ちたい選手には、少しハードルが高く感じられる場合があります。ある程度しっかりと体を回してスイングできる選手が使ったときに、このラケットは真の牙を剥きます。
4. STIGAの他ラケット(シェーク)との性能比較
4-1. ローズウッドNCT Vとの違い:球持ちと弧線の高さの比較
エバンホルツNCT Vと常に比較される兄弟機種が、同じく高級木材(紫檀=ローズウッド)を上板に使用した「ローズウッドNCT V」です。この2本はどちらもスティガの高級5枚合板ですが、明確な性格の違いがあります。
- 打球感の硬さ
エバンホルツNCT Vの方が明確に硬く、シャープな打球感です。ローズウッドNCT Vはややマイルドで、ボールを包み込むような柔らかさがあります。 - 球離れと弧線
エバンホルツNCT Vは球離れが早く、低く鋭い直線的な弾道になりやすいのに対し、ローズウッドNCT Vは球持ちが長く、山なりの高い弧線を描きやすい特徴があります。 - 選び方の基準
スピードやミート打ちの切れ味、一撃の威力を重視するならエバンホルツNCT V。ドライブの安定感や連続攻撃のしやすさ、球持ちの長さを重視するならローズウッドNCT Vを選ぶのが正解です。
4-2. インフィニティVPS Vとの違い:打球感の硬さとスピード差
スティガのベストセラー5枚合板である「インフィニティVPS V」からのステップアップとしてエバンホルツNCT Vを検討する選手も非常に多いです。
インフィニティVPS Vは、中板を特殊な温度処理(VPSテクノロジー)で硬くし、上板には比較的柔らかいリンバ材を使用しています。そのため、軽く打ったときは柔らかく、強く打ったときに芯の硬さを感じる構造です。
対するエバンホルツNCT Vは、一番外側の板(黒檀)が最も硬い構造になっています。そのため、インフィニティVPS Vと比較すると、エバンホルツNCT Vの方が全体のスピード性能が1段階から2段階ほど高く、台上でのツッツキの切れ味やブロックの弾きも鋭いです。インフィニティVPS Vを使っていて「もう少し球威とスピードが欲しい」と感じたシェーク選手にとって、エバンホルツNCT Vは最高の移行先となります。
4-3. エバンホルツNCT VII(7枚合板)との違い:しなりと板厚の選択基準
同シリーズには木材7枚合板の「エバンホルツNCT VII」も存在します。5枚合板の「V」と7枚合板の「VII」の決定的な違いは、「しなり」と「重量・板厚」にあります。
7枚合板のVIIは反発力がすさまじく、ほぼカーボンラケットと同等以上のスピードが出ますが、板厚が厚くしなりが少ないため、スイングスピードが極めて速くないとドライブで弧線を作るのが難しくなります。また、ラケット単体で95g前後になることも多く、シェークハンドで振り回すには相当な筋力が求められます。
一般的なシェークハンドのドライブマンであれば、圧倒的に5枚合板の「エバンホルツNCT V」の方が扱いやすく、回転とスピードのバランスに優れています。前陣でのスマッシュや表ソフトでの弾きを極限まで高めたい場合を除き、基本的には5枚合板のVを選ぶことを強くおすすめします。
4-4. 特殊素材(カーボン)ラケットからの移行はどう感じるか?
現在、インナーファイバー系やアウターALC(アリレートカーボン)系のラケットを使用している選手がエバンホルツNCT Vに移行した場合、最初に感じるのは「打球情報のクリアさ」と「台上の収まりの良さ」です。
カーボンラケット特有の「勝手にボールが飛び出していく感覚」が消え、自分が打った分だけ飛ぶようになるため、フルスイングした際のオーバーミスが劇的に減ります。それでいて、インナーカーボンラケットと比べても見劣りしないほどの初速が黒檀の上板から得られるため、「カーボンから木材に戻したのに、威力不足をまったく感じない」という嬉しい驚きを体験する選手が後を絶ちません。
5. エバンホルツNCT Vに合うおすすめラバー7選【フォア・バック別】
5-1. ラバー選びの基本方針:上板の硬さをどう活かすか?
エバンホルツNCT Vに合わせるラバーを選ぶ際、最も意識すべきポイントは「上板(黒檀)の硬さとのバランス」です。
ラケットの表面が硬いため、あまりにも硬すぎるラバーを貼ると、インパクトが弱いときにボールがラバーに食い込まず、表面だけで滑って棒球になったりネットミスになったりするリスクがあります。逆に、自分のスイングスピードに見合った適切な硬度のラバーを選べば、硬い上板がラバーのスポンジを効率よく潰してくれ、凄まじいスピンとスピードの融合が生まれます。ここでは、フォア面とバック面それぞれで最高のシナジーを生むおすすめラバーを厳選して解説します。
5-2. フォア面におすすめのスピン系テンションラバー3選
フォアハンドで威力のあるドライブを連打したいシェーク選手には、以下の3つのスピン系テンションラバーが抜群の相性を誇ります。
- ディグニクス05(バタフライ)
現代卓球の王道ラバーですが、エバンホルツNCT Vとの組み合わせはまさに「鬼に金棒」です。ディグニクス05の強い引っ掛かりと高い弧線性能が、エバンホルツの直線的な鋭い弾道と合わさることで、相手コートの深くへ鋭く沈み込む究極のドライブが打てます。木材5枚合板のしなりがディグニクスの硬めのスプリングスポンジXをしっかりと食い込ませてくれるため、カーボンラケットに貼ったときよりも扱いやすく感じる選手が多いのも特徴です。 - ファスターク G-1(ニッタク)
硬めのシートとスポンジを持つファスタークG-1は、エバンホルツNCT Vの良さを最もコスパ良く、かつ高次元に引き出してくれるラバーです。上板の黒檀とG-1の強いシートが噛み合うことで、対下回転ドライブの持ち上げやすさと、ミート打ち・ブロックのやりやすさが劇的に向上します。球威がありながらも台に収まる安心感があり、中級者から上級者まで幅広くおすすめできる鉄板の組み合わせです。 - DNA プラチナ M / H(スティガ)
同じスティガ社が開発した最新世代のドイツ製スピン系テンションラバーです。同じメーカー同士でテスト・開発されているだけあり、相性は完璧です。スイングスピードに自信がある選手は「H(ハード:硬度50度)」を、球持ちとバランスを重視する選手は「M(ミディアム:硬度47.5度)」を選ぶと、黒檀の弾きとDNAプラチナの長い弧線が見事に調和し、中陣からの引き合いでも絶対に打ち負けないボールが放てます。
5-3. フォア面におすすめの粘着・微粘着ラバー2選
エバンホルツNCT Vは、もともと中国ナショナルチームのトップ選手たちが粘着ラバーを貼って使用していた背景があり、粘着系ラバーとの相性は全ラケットの中でも最高峰に位置します。
- キョウヒョウNEO3 / 省狂NEO3(紅双喜)
粘着ラバーの代名詞であるキョウヒョウシリーズを貼ると、エバンホルツNCT Vは真の姿を現します。粘着ラバー特有の「スピードが出にくい」という弱点を黒檀の硬い弾きが補い、エバンホルツのしなりがキョウヒョウの硬いスポンジと粘着シートを最大限に活かします。バウンド後に二速が急激に伸びたり沈んだりする、相手にとって悪魔のような癖球ドライブが面白いように入ります。 - ディグニクス09C(バタフライ)
純粋な中国製粘着ラバーは重くて扱いにくいと感じるシェーク選手には、粘着性ハイテンションのディグニクス09Cが最適です。上板の硬さによって09Cの硬いスポンジがしっかり潰れ、台上技術(ストップやツッツキ)の圧倒的なやりやすさと、カウンタードライブの無類の強さを手に入れることができます。前陣でピッチの速い両ハンド攻撃を仕掛ける選手にイチオシの組み合わせです。
5-4. バック面におすすめのコントロール・テンションラバー2選
シェークハンドのバック面は、フォア面よりもコンパクトなスイングで振るため、やや食い込みが良く、球持ちをサポートしてくれる中硬度〜やや柔らかめのラバーを合わせるのがセオリーです。
- ロゼナ(バタフライ)
バックハンドの安定感を飛躍的に高めたいなら、ロゼナが最高のパートナーになります。エバンホルツNCT Vの上板は硬いため、バック面で硬すぎるラバーを使うとブロックやチキータでミスが出やすくなりますが、ロゼナの適度な食い込みがそれを完全にカバーしてくれます。「ラケットの硬さで威力を出し、ラバーの優しさでミスを防ぐ」という理想的な補完関係が成立します。 - ヴェガ ヨーロッパ / ヴェガ ツアー(XIOM)
バック面でのミート打ちやブロック、軽快なスピードドライブを重視するなら、軟らかめの「ヴェガ ヨーロッパ」が抜群に使いやすいです。軽く振るだけで黒檀の表面とヴェガの柔らかいスポンジが反発し、心地よい金属音とともに快心のバックハンドが放てます。また、ラケットの総重量を軽く抑えられるという大きなメリットもあります。より上のレベルでバックドライブの威力を求めるなら、シートが強く軽量な「ヴェガ ツアー」も非常に好相性です。
5-5. 表ソフトや粒高(異質ラバー)との相性はどうなのか?
シェークハンドのバック面に表ソフトや粒高ラバーを貼る「異質攻撃型」の選手にとっても、エバンホルツNCT Vは非常に魅力的な選択肢となります。
- 表ソフトとの相性
上板の黒檀が硬いため、表ソフト特有の「ナックル性(無回転)の出しやすさ」と「ミート打ちの球離れの良さ」が際立ちます。モリストSP(ニッタク)やインパーシャルXS(バタフライ)などをバックに貼ると、弾きの鋭いバックスマッシュと、フォア面の強烈なドライブのコンビネーションが抜群に活きます。 - 粒高・変化系ラバーとの相性
表面が硬く球離れが早いため、相手の回転をそのまま残して返すカットブロックの切れ味が非常に鋭くなります。ただし、少し弾みがあるため、完全に守備型の粒高よりも、プッシュや攻撃を積極的に混ぜる前陣攻守型の選手に向いています。
6. エバンホルツNCT Vの性能を長く維持するためのメンテナンス術
6-1. ラケットコート(エラステックなど)は塗るべきか?
スティガのラケットは、ラバーを剥がす際に上板の木目が一緒に剥がれてしまう「板剥がれ」が起きやすいと言われることがあります。しかし、エバンホルツNCT Vに関しては、前述した「ダイヤモンドタッチテクノロジー」によって表面が非常に滑らかで硬く加工されているため、従来のスティガラケットに比べると板剥がれのリスクは大幅に軽減されています。
それでも、最近の卓球用接着剤(水溶性グルー)は接着力が強いため、大切な高級ラケットを守るために薄くラケットコート(表面保護剤)を塗布しておくことをおすすめします。塗る際の注意点として、厚塗りしすぎるとせっかくの黒檀の打球感が変わったり、ラバーが剥がれやすくなったりするため、ティッシュやスポンジで極薄く1回だけ塗り伸ばし、しっかりと乾燥させるのがコツです。
6-2. グリップの汗対策と適切な保管方法
スティガのグリップ材は吸水性が高く、手にしっとりと馴染む素晴らしい質感を持っています。その反面、練習後に手汗を吸ったまま密閉されたラケットケースに放置してしまうと、湿気がブレード全体に回り、ラケットの総重量が数グラム重くなったり、打球感が曇ったりする原因になります。
練習や試合が終わった後は、すぐにケースにしまわず、風通しの良い日陰でしばらく乾燥させてから保管するようにしましょう。また、ケースの中には必ず卓球用のシリカゲル(乾燥剤)を1〜2個入れておくことで、購入時のクリアでシャープな打球感を何年にもわたって維持することができます。さらに、ブレードのエッジ(側面)を台にぶつけて黒檀が欠けてしまうのを防ぐため、厚めのサイドテープを貼って保護しておくことも重要です。
6-3. 購入時に失敗しないための個体重量の選び方
エバンホルツNCT V(シェークハンド)を購入する際、最もこだわりたいのが「個体重量の指定」です。天然の黒檀を使用しているため、同じエバンホルツNCT Vでも82g程度の軽い個体から、95gを超える超重量級の個体まで幅広いバラつきが存在します。
シェークハンドで両面に裏ソフトラバー(特厚)を貼る場合、以下の基準でラケット単体の重量を選ぶと失敗がありません。
- 83g〜86g前後(軽め〜標準)
振り抜きやすさ、連打の速さ、フォアとバックの切り返しを重視する選手に最適。女性のシェーク選手やジュニア選手、またキョウヒョウなどの重たい粘着ラバーを貼る予定の選手にはこの重量帯が強く推奨されます。 - 87g〜90g前後(やや重め)
1球の重み、ブロック時に相手に押されない強さ、中陣からの引き合いの威力を重視するパワーヒッター向け。一般的なスピン系テンションラバーを両面に貼って、総重量185g〜188g程度でしっかり振り切れる男性選手に最も好まれる黄金ゾーンです。
実店舗で購入する場合は実際にキッチンスケールで測らせてもらい、ネットショップで購入する場合は備考欄等で希望の重量帯を伝えて選ぶのが、最高の1本に出会うための秘訣です。
7. エバンホルツNCT Vのレビューと相性ラバーまとめ
スティガの名作シェークハンドラケット「エバンホルツNCT V」について、その構造から技術別の打球感、ライバル機種との比較、そして相性抜群のラバーまで徹底的に解説してきました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返ります。
- 上板に最高級木材の「黒檀(エバンホルツ)」を採用し、木材5枚合板の枠を超えたスピードと球威を実現している。
- 強打時には5枚合板らしい「しなり」と「高い弧線」が生まれ、台上やタッチプレイでは木材ならではの繊細なコントロールが可能。
- ドライブの回転量と、ミート打ち・スマッシュの爽快な弾きを両立したいシェークハンド選手にとって理想的な性能を持つ。
- フォア面にはディグニクス05、ファスタークG-1、DNAプラチナ、キョウヒョウNEO3などの威力が出るラバーがベストマッチ。
- バック面には上板の硬さを中和して安定感を高めるロゼナやヴェガ ヨーロッパなどの中硬度〜軟らかめのラバーが好相性。
- 重めの個体が多いため、購入時は85g〜88g前後を目安に自分の筋力に合った重量を選ぶことが重要。
特殊素材ラケットが全盛の現代においても、エバンホルツNCT Vが持つ「自分の感覚でボールを操る喜び」と「相手を打ち抜く圧倒的な球威」は、決して色褪せることのない唯一無二の魅力です。今のラケットの威力や感覚に少しでも迷いがあるなら、ぜひエバンホルツNCT Vを手に取り、最高峰の木材ラケットが織りなす極上の打球感を体感してみてください。

