プロも愛用する大人気ラバー「ディグニクス09C」。卓球初心者の自分でも使いこなせるのか悩んでいませんか?憧れのラバーを使ってみたい反面、「高価だから失敗したくない」「難しすぎて変な癖がついたらどうしよう」と不安になりますよね。実は、ディグニクス09Cの特徴と初心者にとってのメリット・デメリットを正しく理解すれば、ラバー選びの失敗は確実に防げます。本記事では、用具選びで後悔したくない初心者の方に向けて、ディグニクス09Cが難しい理由や最適な代替ラバーを徹底解説します。最後まで読んで、今のあなたにベストな1枚を見つけましょう!
1. ディグニクス09Cとは?基本スペックと特徴を徹底解剖
卓球界で圧倒的なシェアと人気を誇るバタフライ(タマス)のラバーの中でも、ひときわ異彩を放っているのが「ディグニクス09C」です。まずは、このラバーがどのような経緯で開発され、どのような性能を持っているのか、その基本スペックと特徴を詳しく見ていきましょう。
1-1. バタフライが誇る「粘着性ハイテンションラバー」の最高峰
ディグニクス09Cは、2020年4月にバタフライから発売された「粘着性ハイテンションラバー」の最高峰モデルです。従来の卓球界では、ボールに強烈な回転をかけやすい「中国製の粘着ラバー」と、ボールにスピードを出しやすい「日本・ドイツ製のハイテンションラバー」の2つが大きく分かれていました。
トップ選手たちの間では「粘着ラバーのような強烈な回転量や変化と、ハイテンションラバーのような高い反発力を両立できないか」という要望が長年存在していました。その究極の答えとして開発されたのが、このディグニクス09Cです。世界ランキング上位のトップ選手や、日本のエースである張本智和選手、ドイツの英雄ティモ・ボル選手やオフチャロフ選手など、世界中の超一流プレイヤーがこぞって使用しているモンスターラバーとして知られています。
他のディグニクスシリーズ(05、80、64)が純粋なハイテンションラバーであるのに対し、09Cだけはシート表面に微粘着性を持たせているのが最大の特徴です。これにより、従来のラバーでは不可能だった「擦って良し、弾いて良し」という高次元のプレーを可能にしています。
1-2. スプリングスポンジXと微粘着シートが生み出す驚異の性能
ディグニクス09Cの驚異的な性能を支えているのは、「スプリングスポンジX」と「微粘着性の独自トップシート」の2つの最新テクノロジーです。
まずスポンジ部分には、大ヒット作であるテナジーシリーズに採用されていた「スプリングスポンジ」をさらに進化させた「スプリングスポンジX」が搭載されています。このスポンジは、従来のスポンジに比べて変形しやすさが14%向上し、反発力が3%アップしています。つまり、強いインパクトでボールを捉えた際にスポンジが深く食い込み、バネのように強い力でボールを弾き出す性質を持っています。
そして表面のトップシートには、高い摩擦力を誇る微粘着シートと、開発コード「No.209」のツブ形状が採用されています。このツブ形状は、細くて長いツブの下部に台形のツブを組み合わせたような特殊な構造をしており、打球時にツブが倒れすぎず、しっかりとボールの威力を支えながら強烈なスピンを生み出すように設計されています。
この「高反発なスポンジ」と「高摩擦な微粘着シート」が組み合わさることで、ドライブを打った際には相手コートで急激に沈み込み、バウンド後に鋭く伸びるという、相手にとって非常に取りづらい弧線を描くことができます。
1-3. スポンジ硬度「44度」が意味する圧倒的な硬さ
ディグニクス09Cを理解する上で絶対に避けて通れないのが、その「硬さ」です。バタフライが公表しているディグニクス09Cのスポンジ硬度は「44度」となっています。
「44度なら、そこまで硬くないのではないか?」と思う方もいるかもしれませんが、これはバタフライ独自の硬度基準による数値です。多くの他メーカーが採用しているドイツ基準(ESN基準)の硬度に換算すると、ディグニクス09Cの44度は、およそ「54度〜55度」という極めて硬い数値に相当します。さらに、表面のシート自体も肉厚で硬めに設計されているため、ラバー全体の体感硬度は数値以上に硬く感じられます。
一般的に、卓球初心者が最初に使うべきとされるラバーの硬度は、バタフライ基準で30度〜35度前後(ドイツ基準で40度〜42.5度前後)です。また、上級者に人気の「ディグニクス05」や「テナジー05」でさえ、スポンジ硬度は40度(バタフライ基準)です。それらと比較しても、ディグニクス09Cの44度という硬さがいかに規格外であり、パワーとスイングスピードを要求される仕様であるかがよく分かります。
2. 【結論】卓球初心者にディグニクス09Cがおすすめできない5つの理由
スペックの高さやプロ選手の使用実績を見ると、「最初から一番良いラバーを使えば早く上達するのではないか」と考える初心者の方も少なくありません。しかし結論から申し上げますと、卓球初心者がディグニクス09Cを使用することは強くおすすめできません。それには、上達を妨げてしまう明確な5つの理由があります。
2-1. スポンジが硬すぎて自分の力でボールを食い込ませられない
最大の理由は、初心者のスイングスピードやインパクトの強さでは、44度という硬いスポンジにボールを食い込ませることができない点にあります。
ラバーというのは、打球時にシートとスポンジが変形し、それが元の形に戻ろうとする反発力(トランポリン効果)を利用してボールを飛ばします。軟らかいラバーであれば、弱い力で打ってもスポンジが簡単に凹んでくれるため、初心者でも気持ちよくボールを飛ばすことができます。
しかし、ディグニクス09Cのように極めて硬いラバーの場合、かなりの筋力とスイングスピードでボールを強く叩きつけなければスポンジが変形してくれません。初心者が一般的なフォームで打球しても、スポンジが全く凹まず、表面の硬いシートにコツンと当たって終わってしまいます。その結果、ボールにスピードも回転も乗らず、ネットの手前でポトッと落ちてしまうか、威力のない棒球になってしまうのです。
2-2. 正しいスイングと打球感覚が身につかず変な癖がつく
初心者の時期に最も大切なのは、「正しいフォームで振れば、きれいな放物線を描いて相手コートにボールが入る」という成功体験と打球感覚を養うことです。しかし、ディグニクス09Cを使うとこの感覚が全く養われません。
前述の通り、普通のフォームで振るとボールが飛ばずにネットミスになるため、初心者は無意識のうちに「なんとかして相手コートまでボールを飛ばそう」と工夫し始めます。具体的には、ラケット面を極端に上に向けて下からすくい上げるような打ち方になったり、腕の力だけで無理やり押し出すような大振りのフォームになったりしてしまうのです。
一度このような「飛ばないラバーを無理やり飛ばすための変な癖」が染み付いてしまうと、後から正しいフォームに矯正するのは至難の業です。基礎固めの段階で不適切な用具を選ぶことは、将来の上達の天井を自ら低くしてしまう大きなリスクを伴います。
2-3. 相手の強い回転の影響をまともに受けてしまいレシーブが困難
ディグニクス09Cの「微粘着シート」は、自分が回転をかけるときには強力な武器になりますが、裏を返せば「相手がかけてきた回転の影響もまともに受けてしまう」という諸刃の剣でもあります。
卓球の試合において、初心者が最もつまずきやすいのが「サーブレシーブ」と「ツッツキなどの台上処理」です。摩擦力の高いディグニクス09Cを使っていると、相手のちょっとした横回転や下回転サーブに対してラバーが敏感に反応してしまいます。
ラケットの角度を1度でも間違えれば、下回転サーブはネットへ直行し、上回転や横回転サーブはあらぬ方向へ吹っ飛んでいきます。相手の回転を正確に見極め、それに合わせてラケット角度をミリ単位で調整する技術がない初心者にとって、ディグニクス09Cでのレシーブはストレス以外の何物でもありません。
2-4. ラバー自体の重量が重くスイングスピードが落ちる
あまり注目されませんが、ラバーの「重さ」も初心者にとっては重大な問題です。高密度な硬いスポンジと粘着シートを採用しているディグニクス09Cは、数ある卓球ラバーの中でもトップクラスに重いラバーです。
ラケットに貼って周囲をカットした後の重量は、最も厚い「トクアツ」の場合で約49g〜52g前後にもなります。一般的な初心者向けラバーのカット後重量が38g〜43g程度であることを考えると、片面だけで約10g近く重くなる計算です。もし両面に貼れば、ラケット全体の重量は簡単に190gを超えてしまいます。
卓球用の筋肉がまだ発達していない初心者がこれほど重いラケットを振ると、以下のような弊害が起きます。
- ラケットの重さに振り回されてスイングスピードが著しく落ちる
- 1球打った後の「戻り」が遅くなり、連続して打つことができなくなる
- 無理に振ろうとして手首や肘、肩の関節を痛め、怪我につながる
軽快にラケットを振ってリズムよく打球する楽しさを知る前に、重さによる疲労や怪我に見舞われてしまっては本末転倒です。
2-5. 価格が約1万円と非常に高価でメンテナンスもシビア
コストパフォーマンスと管理の難しさも、初心者におすすめできない大きな理由です。ディグニクス09Cのメーカー希望小売価格は9,900円(税込)と、ラバー1枚の価格としては約1万円に達する超高級品です。両面に貼ればラバー代だけで約2万円になります。
さらに、表面が微粘着であるため、通常のテンションラバー以上にホコリや皮脂、湿気の影響を受けやすいという特徴があります。練習後にそのまま放置すると、表面に空気中のホコリがびっしりと付着し、あっという間に粘着力が失われて性能が劣化してしまいます。
性能を維持するためには、練習が終わるたびに専用のラバークリーナーで丁寧に汚れを拭き取り、完全に乾かしてから「粘着保護フィルム」を空気が入らないようにピタッと貼り付けるという徹底したメンテナンスが必須です。用具の扱いに慣れていない初心者にとって、1万円もするラバーのシビアな管理は大きな負担となります。
3. それでもディグニクス09Cを初心者が使ったらどうなる?技術別のリアルな挙動
「おすすめできない理由は分かったけれど、もし実際に初心者が使ったらどんな球が出るのか知りたい」という方のために、各技術(フォア打ち、ドライブ、台上技術、サーブ・ブロック)においてどのような現象が起きるのか、リアルな挙動を解説します。
3-1. フォア打ち・バック打ち(基礎打ち)での違和感と難しさ
練習の最初に行うフォア打ちやバック打ちの段階から、ディグニクス09Cは強烈な違和感を初心者に与えます。軟らかいテンションラバーであれば、「ポーン、ポーン」と軽快な金属音とともに、軽い力でも相手コートの深い位置までボールが飛んでいきます。
しかしディグニクス09Cで同じように軽く打つと、「ペチッ」という鈍い音がして、ボールが全く弾まずにネットの手前で失速します。微粘着シートがボールの勢いを一度吸収してしまい、かつスポンジが硬くて反発しないためです。
ところが、飛ばそうと思って力任せに強く叩いた瞬間、今度はスプリングスポンジXの反発力が突然顔を出してボールが急激に飛び出し、オーバーミスになります。この「弱く打つと全く飛ばず、強く打つと急に飛び出す」という極端なギアの変化に、初心者は対応することができません。
3-2. ドライブ技術におけるループドライブとスピードドライブのギャップ
下回転のボールを持ち上げる「ドライブ」においても、極端な現象が起きます。まず、ボールの表面を薄く擦り上げる「ループドライブ」に関しては、実は初心者でも意外と回転がかかることがあります。表面の微粘着シートがボールをしっかりと引っ掛けてくれるため、下から上へ振る感覚さえあれば、回転量の多い山なりのボールが打てる瞬間があります。
しかし問題は、ボールを厚く捉えて前へ飛ばす「スピードドライブ」です。相手のコートに突き刺さるような速いドライブを打とうとしても、スイングスピードが足りないため、ラバーの表面でボールが滑るか、単なる山なりの遅いボールにしかなりません。プロ選手が打つような、バウンド後に相手の手元へ伸びていく鋭いドライブを打つには、強靭な下半身の踏ん張りと、全身を使った猛烈なインパクトが必要不可欠なのです。
3-3. ツッツキ・ストップ・フリックなど台上技術でのメリットと罠
意外に思われるかもしれませんが、ネット際でボールを処理する「台上技術」においては、初心者にとっても一部メリットと感じられる部分があります。それは「ボールが勝手に弾まないため、ストップが短く止まりやすい」という点です。テンションラバーだとポーンと浮いてしまうような場面でも、ディグニクス09Cなら勢いを吸収してネット際にピタッと止めやすい性質があります。
しかし、ここにも大きな罠が潜んでいます。相手のボールに強い回転がかかっていた場合、当てるだけのストップやツッツキをすると、シートの摩擦力が災いして回転をモロに食らい、ボールが真上に浮き上がったり、横に飛んでいったりします。自分からしっかりとボールの下を擦り切る技術がないと、安定したツッツキを続けることはできません。また、台上のボールを払う「フリック」も、自分の力で弾き出す技術がないため、ネットミスを連発することになります。
3-4. サーブとブロックにおける回転量と安定性のバランス
自分の思い通りに打てる「サーブ」に関しては、ディグニクス09Cの恩恵を最も感じやすい技術と言えます。ボールを薄く擦る感覚さえ掴めれば、微粘着シートの力で初心者でも驚くほど切れた下回転サーブや、大きく曲がる横回転サーブを出すことが可能です。また、ラバーが弾まないため、相手コートで2バウンド以上する短いサーブを出しやすいという利点もあります。
一方、相手の強打を受ける「ブロック」では評価が真っ二つに分かれます。相手が威力のあるドライブを打ってきたとき、ラケットの真ん中に正確に当てることができれば、硬いスポンジが相手の威力に押し負けず、驚くほど低く鋭いブロックが返ります。しかし、少しでも当たる位置がズレたり、自分のラケット角度が狂ったりすると、軟らかいラバーのように「ラバーが勝手にボールを包み込んでミスをカバーしてくれる」ということがないため、容赦なくミスになります。
4. ディグニクス09Cを使いこなせるようになるための3つの条件
では、ディグニクス09Cはどのようなレベルに達すれば使いこなせるようになるのでしょうか。憧れのラバーを単なる「宝の持ち腐れ」にせず、その真価を引き出すためにクリアしておくべき3つの条件を解説します。
4-1. 基礎的なフォームが固まり自分の力でボールを飛ばせること
1つ目の条件は、手打ちを完全に卒業し、全身の連動を使った正しいフォームで、自分の力で強いインパクトを生み出せることです。
卓球の打球威力は、腕の力だけで生み出すものではありません。足の裏で床を強く蹴り、その力を股関節と腰の回転に伝え、肩甲骨から腕、そしてラケットの先端へと鞭のようにしならせて伝えることで、初めて硬いスポンジを食い込ませるだけのパワーが生まれます。
フォア打ちやバック打ちを100回連続でミスなく続けられることはもちろん、どのコースに来たボールに対しても、しっかりと足を動かして身体の正面で捉え、安定したスイングで深いボールを打ち返せる基礎体力が身についていることが大前提となります。
4-2. ボールの「薄く擦る感覚」と「厚く食い込ませる感覚」を分けられること
2つ目の条件は、「シートの表面だけでボールを薄く擦る打ち方」と「スポンジの奥までグッと食い込ませて弾き出す打ち方」の2つを、自分の意思で明確に使い分けられることです。
ディグニクス09Cの最大の武器は、微粘着シートによる回転量と、スプリングスポンジXによる反発力のハイブリッドにあります。
- サーブやツッツキ、ループドライブでは、スポンジを使わずに表面の粘着シートだけでボールを薄く鋭く擦り、最大スピンを生み出す。
- スピードドライブやスマッシュ、カウンターでは、ボールを厚く捉えて44度のスポンジを限界まで凹ませ、その反発力で一気に打ち抜く。
この2つのタッチの違いを指先や手首の感覚で理解できていないと、ディグニクス09Cの性能の半分も引き出すことはできません。
4-3. ラケットの総重量(180g〜190g以上)を最後まで振り切れるフィジカル
3つ目の条件は、重くなったラケットを試合の最後まで振り抜き、かつ素早く次の準備に戻れるフィジカル(筋力・体幹)があることです。
前述の通り、ディグニクス09Cを貼るとラケットの総重量は確実に重くなります。練習の最初の10分間だけ気持ちよく振れても意味がありません。5ゲームマッチの終盤、足が疲れてきた場面でも、185g〜190g前後のラケットを振り遅れることなく鋭く振り抜き、打った瞬間に基本姿勢へピタッと戻れるだけの前腕・肩周り・体幹の筋力が求められます。中学生であれば筋力がしっかりついてくる中学2〜3年生以降、一般の大人であれば週に数回の練習を1〜2年以上継続して卓球専用の筋力が養われてからが、検討のスタートラインとなります。
5. 初心者がディグニクス09Cを目指してステップアップするための代替ラバー6選
今すぐディグニクス09Cを使うのは難しくても、段階を踏んでラバーをステップアップしていけば、将来的に必ず使いこなせるようになります。ここでは、初心者が基礎を固め、最終的にディグニクス09Cへスムーズに移行するための最適な代替ラバーを、レベル別に6つ厳選してご紹介します。
5-1. 【入門編】まずは基礎を固めるコントロール系・軟らかめテンションラバー
卓球を始めたばかりの段階から半年〜1年程度は、自分のスイングでボールをしっかりと食い込ませ、回転をかける感覚を養える軟らかめのラバーを選びましょう。
- バタフライ「ロゼナ(ROZENA)」
ディグニクスやテナジーと同じ「スプリングスポンジ」を採用しながら、スポンジ硬度を35度に軟らかく設計した、ステップアップの王道ラバーです。最大の特徴は「トレランス(許容度)の高さ」にあり、多少のラケット角度の狂いやスイングのブレをラバーが自動的に補正してくれます。まずはこのロゼナで「スポンジに食い込ませて弧線を描く感覚」をマスターするのが最短ルートです。 - ヤサカ「ライガン(RAKZAシリーズ入門・ハイブリッドエナジー型)」
非常に軟らかいスポンジ(ドイツ基準で40度〜45度相当)と、引っかかりの良いシートを組み合わせた入門用テンションラバーです。軽い力でもボールがしっかりと食い込み、金属音とともに気持ちよく飛んでいくため、正しいフォームでの素直な打球感覚を身につけるのに最適です。 - ニッタク「ファクティブ(FACTIVE)」
「自分の力でボールを掴んで飛ばす」という基本技術を習得するために開発されたラバーです。暴発しにくくコントロール性能が抜群に高いため、サーブやツッツキ、ドライブの基礎を1から丁寧に覚えたい初心者に強くおすすめできます。
5-2. 【初級〜中級編】粘着ラバーの感覚を養う微粘着・ソフト粘着ラバー
入門用ラバーで一通りの基礎技術(フォア・バックのドライブ、ツッツキ、ブロックなど)ができるようになったら、ディグニクス09Cの前段階として「軟らかめの微粘着ラバー」や「扱いやすいスピン系テンションラバー」へ移行しましょう。
- バタフライ「グレイザー09C(GLAYZER 09C)」
将来ディグニクス09Cを使いたい人にとって、現在最もおすすめできる決定版ラバーです。ディグニクス09Cと同じ開発コードNo.209の微粘着シートを採用しながら、スポンジ硬度を44度から「42度」へと2度軟らかく設計しています。さらに価格も約6,000円前後とディグニクスの約6割に抑えられています。09C特有の「擦って回転をかける感覚」や「台上の止まりやすさ」をそのまま体験でき、かつ初心者〜中級者のパワーでもしっかりとボールが食い込んで飛んでくれます。 - ヤサカ「翔龍(シャオリュウ)・輝龍(キリュウ)」
粘着性シートとテンションスポンジを組み合わせたラバーの中で、比較的扱いやすくコストパフォーマンスに優れた名作です。特に「輝龍」は軟らかめのスポンジを採用しているため、粘着ラバー特有のクセや回転のかけ方を学びたい初中級者の練習用として非常に優秀です。 - ニッタク「ファスタークG-1(FASTARC G-1)」
粘着ラバーではありませんが、シートのグリップ力(引っかかり)が非常に強く、ディグニクス09Cに移行する前の「自分の力でしっかり擦って飛ばす筋力と技術」を養うのに最高のスピン系テンションラバーです。ファスタークG-1の「トクアツ」を自分のスイングでしっかりと食い込ませて威力あるドライブが打てるようになれば、ディグニクス09Cへ移行する準備はほぼ整ったと言えます。
5-3. ディグニクス09Cへ移行するベストなタイミングの見極め方
上記のステップアップ用ラバーを使って練習を重ねる中で、どのような状態になったらディグニクス09Cへ移行して良いのでしょうか。見極めるべき具体的なサインは以下の3つです。
- 全力でドライブを打ったときに「底づき」を感じるようになった
現在使っている軟らかめのラバーでフルスイングした際、ボールがスポンジを突き抜けてラケットの木材に直接当たっているような感覚(底づき)があり、これ以上ボールの威力が上がらないと感じたとき。 - 相手の強いドライブに対してブロックが押し負ける・飛びすぎるようになった
対戦相手のレベルが上がり、相手のボールの威力が強くなった結果、軟らかいラバーでは反発しすぎてオーバーミスが増えたり、回転に負けてコントロールできなくなったりしたとき。 - 「グレイザー09C」を使っていて、もっと球威と回転の最大値を上げたいと感じた
グレイザー09Cを半年以上使い込み、微粘着ラバーの扱い方やメンテナンスに完全に慣れた上で、「自分のスイングスピードなら、もう一段階硬いスポンジでも食い込ませられる」と確信できたとき。
これらのサインが出始めたタイミングこそが、ディグニクス09Cを手にするベストな瞬間です。
6. どうしても今すぐディグニクス09Cを使いたい初心者が取るべき対策
ここまで解説してきた通り、段階を踏むのが上達のセオリーですが、「憧れの選手と同じラバーを使ってモチベーションを上げたい」「すでにディグニクス09Cを購入してしまった」という初心者の方もいるでしょう。どうしても今すぐディグニクス09Cを使いたい場合に、難しさを最小限に抑えて扱いやすくするための3つの現実的な対策をお伝えします。
6-1. スポンジの厚さは「トクアツ」ではなく「アツ」を選ぶ
ディグニクス09Cには、スポンジの厚さが「トクアツ(2.1mm)」と「アツ(1.9mm)」の2種類用意されています。プロや上級者はほぼ全員が「トクアツ」を選びますが、初心者が使うのであれば間違いなく「アツ」を選んでください。
スポンジが薄くなることで、打球時にラケットの木材部分の感覚が手に伝わりやすくなり、硬いスポンジ特有の「どう飛んでいるか分からない感覚」が大幅に軽減されます。また、最も重要なメリットとして、ラバー自体の重量がトクアツに比べて約3g〜4g軽くなります。たかが数グラムと思われがちですが、ラケットの先端部分が3g軽くなると、体感の振り抜きやすさは劇的に向上します。
6-2. 組み合わせるラケットは「木材合板」や「インナーファイバー」にする
ディグニクス09Cの硬さをカバーするためには、土台となるラケット選びが極めて重要です。絶対に避けるべきなのは、特殊素材(カーボンなど)が表面のすぐ下に配置された「アウターカーボンラケット(ティモボルALCやビスカリアなど)」との組み合わせです。硬いアウターラケットに硬いディグニクス09Cを貼ると、打球感が鉄板のように硬くなり、初心者では一切コントロールできなくなります。
初心者がディグニクス09Cを貼るなら、打球時にラケット全体がしなってボールを包み込んでくれる「木材5枚合板(コルベルなど)」や、特殊素材を内側に配置して球持ちを良くした「インナーファイバー仕様(インナーフォース レイヤー ALCなど)」のラケットを必ず選んでください。ラケット側で「球持ち(ボールがラケットに留まる時間)」を長く確保してあげることで、44度の硬いラバーでも回転をかける感覚を掴みやすくなります。
6-3. バック面には軽量で軟らかいラバーを貼って総重量とバランスを調整する
初心者が最もやってはいけない失敗が「フォア面とバック面の両方にディグニクス09Cを貼ること」です。バックハンドはフォアハンドに比べて体の構造上スイングの可動域が狭く、強いインパクトを出しにくい技術です。ただでさえ難しいディグニクス09Cをバック面に貼ると、バック側に来たボールを全く返球できなくなってしまいます。
また、重量の面でも両面09Cは無謀です。ディグニクス09Cを使うならフォア面のみに限定し、バック面には「ロゼナ」や「グレイザー」(無印の38度モデル)など、軟らかくて軽量なテンションラバーを貼りましょう。こうすることで、ラケット全体の総重量を180g前後に抑えることができ、バックハンドは安定してブロックやミート打ちをしながら、フォアハンドで憧れのディグニクス09Cの回転を楽しむというバランスの取れたプレーが可能になります。
7. 正しいステップを踏んで憧れのディグニクス09Cをマスターしよう
ディグニクス09Cは、粘着ラバーの圧倒的な回転量と、ハイテンションラバーの鋭い反発力を高い次元で融合させた、間違いなく現代卓球における最高峰のラバーです。しかし、その秘められたモンスター級の性能は、44度という硬いスポンジを自分の力で食い込ませることができるスイングスピードと、微粘着シートを自在に操る繊細なタッチがあって初めて発揮されるものです。
卓球を始めたばかりの初心者がいきなり使用すると、ボールが飛ばずにネットミスを連発したり、無理に飛ばそうとしてフォームが崩れたりと、上達の遠回りになってしまうリスクが非常に高いと言えます。
まずは「ロゼナ」などの軟らかいテンションラバーで正しいフォームとインパクトの基礎を固め、次に弟分である「グレイザー09C」で微粘着ラバーの感覚とメンテナンスを習得する。そして十分な筋力と技術が身についた段階で、満を持して「ディグニクス09C」へとステップアップしていくのが、最も確実で失敗のない王道ルートです。
もし今すぐ使いたい場合は、厚さを「アツ」にし、球持ちの良い木材ラケットやインナーラケットのフォア面だけに貼るなどの工夫を取り入れてみてください。自分の現在のレベルに合った最適な用具選びを行い、段階的に技術を磨いて、ぜひ将来この最高のラバーを自在に操る楽しさを味わってください!

